2016年12月03日

上質な発声と話し方を目指して丁寧にトレーニングしよう

●声の好み、話し方に対する基準が変わってきた

『内向型人間が声と話し方でソンしない本』(青春出版社)が出てから、「これから発声、話し方をトレーニングしたい」という方からの問い合わせが何件かありました。

まだ数件ではありますが、声や話し方に意識を向ける人はそもそも少数派なので、一人でも多くの方の「良いものを目指す」お手伝いができるのはうれしいことです。

声と話し方でソンしない本トレーニングを始める方に、これから生じるであろう変化に対して心構えを持っていただくために、今日は入門者向けレッスンをしましょう。

発声トレーニングを始めた方からよく聞く言葉があります。

「声の好みが変わった」
「これが良い声、という感覚が以前とはぜんぜん違う」
「昔憧れていたような話し方に、憧れなくなった」

なるほど、そのような変化が自分に生じたとしたら、良いトレーニングを重ねていると自信を持ってください。

なぜなら、以前は持っていなかった「声に関する基準」「話し方に関する基準」が自分の中にできた証拠だからです。

「何も分からない段階での自分感覚」から、「分かっている人の基準」へと変わったと言ってもいい。

こんな「変化の報告」もあります。


「大声が出せる人に対して劣等感があったのか、大声で話されると無条件に良い声と感じていた」と言っていた人が、しばらく経つと「声の質が聞き分けられるようになったのか、大声に萎縮しないようになった」。

「オバサン的なこなれた感じというか、崩して近づくような物怖じしないしゃべり方を聞くと、自分にはできないからか話し上手に感じていた」と言っていた人が、「やっぱり大人の距離感がある女性のほうが上品で好き」。

「上司や同僚の男性(おじさんたち)にちやほやされやすい同僚に妬ましい気持ちがあった」と言っていた人が、「ちやほやされるのではなく、品のある話し方を目指したいと思うようになった」。

「かすれ気味のハスキーボイスで話す女性に憧れて真似していた」という人が、「ピーンと通る声できちんと話したいと思うようになった」。


すばらしい。

いずれも良い方向への変化です。

声、話し方に関して、上質な基準を育てていきましょう。



●「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」とは

何かを高度に身につけたいときに、肝に銘じたい言葉があります。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉です。

別の言葉で言い換えるなら、「原理原則に従う」重要性を説いているといえるでしょう。

「歴史に学ぶ」とは、つまり個人のレベルを離れ、世代と空間を超え、何世代もの時を重ねて得られてきた知見、すなわち原理原則を知り、安定感のある質の高いトレーニング(学び方)をする、ということ。

ヴァイオリンが弾けるようになりたいなら、ヴァイオリンの先生に師事して、弾き方の基本から、「これが良い音」「これが良い演奏」という感覚も教わる必要がある。

「経験に学ぶ」とは、すなわち「個人的な感覚」です。

言い換えれば「私が良いと思うもの」。

だから、浅い。

習う前は、たいてい「個人的な感覚」で「好き嫌い」や「良し悪し」を判断しています。基準が自分の中にできていないので、そうする以外にないからです。

ヴァイオリンを習い始めてしばらくすると、耳が育ち、音への感性が育ってくるので、今まで分からなかった違いが聞き取れるようになり、質の高い音を「好き」「良い」と感じるようになる。

発声も話し方も、同じです。



●「結局は自分感覚」に陥らないために

発声、話し方、文章など、言葉は人そのものともいえる。

だから、こうしてトレーニングをするあなたは、ぜひ「上質」を目指してほしい。

かつてはテレビの中や身近なところに「あんな声で話したい」「あんなふうに話したい」というモデルを見つけて、目指したり憧れたりしたかもしれません。

しかし、本格的にトレーニングを始めたら、いつまでも「あの人みたいに」では寂しい。

「自分感覚で誰かをお手本にしてしまうと、伸びなくなる」ということです。

かつて、声楽家のたまごたちが「今売れている××の歌は聴いてはダメ。〇〇の歌を聴きなさい」などと師から指示されたのは、「聴くだけで影響を受けるから」です。そうなると、手軽にYouTubeなどでいろいろな音声が聴ける現代は、メリットもある分リスキーでもある、ということですね。

「どこをどう聴けばいいか」の基準がしっかりできていれば、いたずらにマイナス影響を受けずに聴けるが、まだ基準ができていないうちに「売れているから良いに違いない」「ウケがいいあの歌い方を真似をしよう」になったら、それはトレーニングではなく、「結局は自分感覚」に陥ってしまう。

「混ぜるな危険」の愚を犯すことにもつながります。いろんな基準を混ぜてしまうと、最終的に到達できるレベルが低くなってしまう。

発声器官は一人一人違います。あなたの楽器で最高の演奏をするのが、最も良い声です。

ピアノがヴァイオリンに憧れてもしょうがないし、ヴァイオリンがピアノになりたがってもしょうがない。

周囲を気にせず、発声「技術」を高めることにこだわりましょう。



●「きちんとした丁寧さ」で一目置かれる発話

声だけでなく、話し方も文章もそう。

話し方を学ぶ方に、「とにかく丁寧に、きちんと話す癖をつけましょう」とよく言います。

「敬語を使わないほうが距離が縮まる」とばかりに、なれなれしく距離を縮めるのがうまい人もいますが、あなたにはぜひとも、品のある大人の距離感で話す「訓練された話し方」を身につけてほしい。

年齢とともに崩れやすいのも、話し方です。先ほど「物怖じしない」という言葉を引用しましたが、年とともに怖いもの知らずになって、話し方に「きちんと感」がなくなっていくことがある。

その様子を「夜のご商売の方みたいな話し方」と形容していた専門家もいます。よく分かります。オジサンウケが良いけれど、ちょっと離れてみると、品に欠ける。「一見丁寧な感じも受けるが、内面的になれなれしい」という感じか。

そういう雰囲気は、丁寧なトレーニングで到達する境地とは違うし、もちろん私もそんな指導はしていません。

「きちんとした丁寧さ」で一目置かれる発話を目指しましょう。

「きちんとした丁寧さ」──大事なキーワードです。

先日も「文章の書き方」レッスンの中で、「冷めた目でツッコミを入れる人を想定」というポイントを取り上げたのですが、この想定の手加減によって「上質な文章」にもなれば、「一般ウケはしても、少々品がない文章」にもなります。

前者は「分かる人をクスッとさせる文章」、後者は「わっかる〜。チョーウケるんだけど」と手を叩かれている感じでしょうか。

ともすると、強い反応を求めて、やりすぎてしまうんですよね。

しかし、「入れるといい」と言われても、控えめに控えめに使うのが、良い文章のコツです。

スパイスと同じで、入れすぎるくらいなら、入れないほうがマシ。

こういった精妙な加減は、ひたすら繰り返す練習で身につけていきます。周囲の人たちを眺めながら「あの人は上手、あの人は下手」とやっていても、質のいいトレーニングになりません。

ここで言葉のトレーニングをする方には、「大人の距離感を感じさせるような上質さ」を目指して、丁寧に技術を高めていただきたいと切に願っています。

そういう本気の方を丁寧に指導するのが、私の生き甲斐です。

* * *

新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
ウェブ:http://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
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2016年12月02日

楽譜のご紹介(声楽名曲選集 イタリア編II)

●声楽名曲選集 イタリア編II

「声のサロン」会員のみなさんにご連絡です。

来年(2017年)は、共鳴発声法の技術をさらに高度に身につけていただくために、高度な課題曲を用意しています。
声楽名曲選集 イタリア編II
お手元にしっかりした楽譜集があるほうが好都合でしょうから、一冊ご紹介しておきますね。できれば年明けまでに用意しておいてください。

『声楽名曲選集 イタリア編II 大阪音楽大学編』

このシリーズは「I」から「III」まであって、その中の「II」(緑色の表紙)ですから、お間違えのないように。

ベッリーニ、トスティ、ドナウディあたりの曲がたくさん収録された一冊です。似たような収録曲の楽譜集をすでにお持ちなら、新しく買わなくてもいいですよ。

下に収録曲のリストを掲載しますので、参考になさってください。



『声楽名曲選集 イタリア編II 大阪音楽大学編』収録曲

・熱い想い(Il fervido desiderio)作曲:ベッリーニ
・憂愁は優しい森の妖精(Malinconia, Ninfa gentile)作詞:ピンデモンテ/作曲:ベッリーニ
・どうか満たしておくれ(Ma rendi pur contento)作曲:ベッリーニ
・お願いだから 愛する人よ(Per pieta, bell'idol mio)作詞:メタスタージオ/作曲:ベッリーニ
・銀色に染める優雅な月よ(Vaga luna, che inargenti)作曲:ベッリーニ
・いま一度(Ancora)作詞:パリアーラ/作曲:トスティ
・セレナータ(La serenata)作詞:チェザレオ/作曲:トスティ
・最後の歌(L’ultima canzone)作詞:プラーガ/作曲:トスティ
・魅惑(Malia)作詞:パリアーラ/作曲:トスティ
・祈り(Preghiera)作曲:トスティ
・ばら(Rosa)作曲:トスティ
・秘密(Segreto)作曲:トスティ
・夢(Sogno)作詞:ステッケッティ/作曲:トスティ
・苦しみ(Tormento)作詞:マッツォーラ/作曲:トスティ
・悲しみ(Tristezza)作詞:マッツォーラ/作曲:トスティ
・私の愛する人(O del mio amato ben)作曲:ドナウディ
・いつまた会えるだろう(Quando ti rivedro)作曲:ドナウディ
・さあ吹いておくれ(Spirate pur, spirate)作曲:ドナウディ
・麗しい絵姿(Vaghissima sembianza)作曲:ドナウディ
・私は夢を見た(Sognai)作曲:スキーラ
・アヴェ・マリア(Ave Maria)作詞:ルカによる福音書/作曲:ルッツィ
・春よ(O primavera)作曲:ティリンデッリ
・あなた方はご承知でしょう(Voi che sapete)作詞:オペラ「フィガロの結婚」より/作曲:モーツァルト
・さあ いとしい人よ(Vedrai, carino)作詞:オペラ「ドン・ジョヴァンニ」より/作曲:モーツァルト
・私の大好きなお父さん(O Mio babbino caro)作詞:オペラ「ジャンニ・スキッキ」より/作曲:プッチーニ


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2016年12月01日

【文章の書き方】なぜ文章のパワーをモノにしたいのか

●文章の真のパワーをモノにしないともったいない

先日の土曜日は、新潟市で「文章の書き方講座」でした。

次回は来年2月(冬の講座)です。それまでたっぷり書いて、「力のある文章」の練習をしておいてください。

※「冬の講座」(2017年2月25日)はすでにほぼ満席です。ご希望の方はお急ぎください。


文章もしゃべりも歌も、道具は「言葉」であり、この道具を使いこなすには「練習」が要ります。

料理に使う包丁だって、事務作業に使うパソコンだって、道具はみんな練習でうまくなりますよね。

逆にいうと、「練習をしても上達しない人」はいません。もちろん「適切な練習」という条件付きではありますが……。

心理言語学というマニアックな学問の視点から、あなたに「文章の力」を身につけてほしい、文章力を身につけないとあまりにもったいない理由があります。

それは「言葉には、仕入れも設備投資も要らない」という、おそらくほかにはない強烈な優位性があるからです。


【冬の講座】
日時:2017年2月25日(土)15:00〜20:00頃
場所:メイフェア(新潟市中央区寄居町)
料金:10,000円(お食事つき)
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:文章の書き方 〜 言語戦略
  言葉が変われば関係が変わります。
  相手との関係は、あなたが使う言葉次第、
  そして書き方、話し方次第です。
  気持ちいい人間関係を築く「言語戦略」で、
  人生を豊かにしましょう。

※お申込みは http://mf07.com/lesson.html からどうぞ



●「仕入れも設備投資も要らない」がなぜ強烈か

「いつか自分で仕事をしたい」という方は大勢います。「好きなことをして食べていきたい」という夢ですね。

ところが、そう甘くない現実も知っている。なにしろ、スタートするのがそもそも難しい。

知識や技術や勇気だけでなく、お金も要る。

あなたがもし、何か商品やサービスを提供しようと思ったら、なんらかの仕入れや設備投資が必要となるでしょう。

これがかなりの額になるわけです。

食べ物を売るには、食材を仕入れる必要がある。陶器を焼いて売るにも、粘土を仕入れる必要がある。

100円を手にするために、30円や50円を先に払わなければならない。しかもその30円なり50円なりが、ちゃんと100円になる保証はない。売れなければ、ゼロ。

シビアですね。

それだけではありません。飲食店を始めるには小規模でも数百万円の機器が要るし、陶器を焼く窯も、電気式の機械で安く抑えても100万円近く。しかも業務用ではないから負荷がかかるとすぐに故障して余計に高くつく。

美容室は仕入れが少ないほうだと聞きましたが、それでも開業時の設備投資は機械設備だけで数百万円。

建物から建てたら数千万円です。テナントに入っても内装工事に数百万円はかかる。

スタートするだけで、ですよ。

オフィス用に物件を借りるとしたら、ただ契約するだけで数十〜数百万円が必要です。

商売って、そういうものですよね。

自分で開業すると、そんなシビアな現実に直面することになります。



●「能力さえあれば好きに使っていい」という特殊

あなたはもう、「そう甘くない」と知っているかもしれません。

そう、甘いわけがない。

だとしたら、「仕入れも設備投資も要らない」という言葉の優位性がどれほど強烈であり、どれほど羨望の的であり、どれほどありがたいかがよく理解できるでしょう。

言葉そのものを売るのでなくても、言葉を使って何かを売ろうとしたとき、すでにあなたには「言葉」があります。

言葉を使うのに経費はかかりません。家賃も電気代も仕入れ担当者の人件費も宣伝広告費も、何も要らない。

「言葉」というツールが持つ、きわめて特殊な性質です。

紙と鉛筆さえあればいい。

スマホでもパソコンでも、文章が書ける。

なんなら口で言って書き取ってもらってもいい。

声で録音しておいて、誰かに文字にしてもらってもいい。

メディアを選ばない。

そんな自由度の高い材料が、ほかにありますか?

陶器を焼くには、やっぱり粘土でなければいけない。「なんなら小麦粉でも」というわけにはいきません。

「蜂蜜を使うのに、純粋はちみつを仕入れたいが、高いから純粋はあきらめるか」という判断をするかもしれません。

しかし言葉なら、そんな判断は要らない。どんな言葉も、無料です。

しかも、すでに持っている。「どう使うか」の能力さえあれば、好きなものを好きなだけ使っていい。

こんな道具がほかにあるでしょうか。

それが言葉です。
言語能力です。
文章力です。

そこにある道具と材料を、タダで好きなように使って、いくらでも「価値」を作っていい。

とはいえ誰にでも「価値」が作れるわけではない。道具と材料を使いこなす能力があれば、の話。

料理に喩えるなら、調理器具や食材をなんでも好きなだけ使わせてくれて、しかも作った料理は自分で好きなように売っていい。

まるで「錬金術」ですね。

それが文章力です。

「文章力を身につけないとあまりにもったいない」理由がお分かりいただけたでしょうか。



【冬の講座】
日時:2017年2月25日(土)15:00〜20:00頃
場所:メイフェア(新潟市中央区寄居町)
料金:10,000円(お食事つき)
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:文章の書き方 〜 言語戦略
  言葉が変われば関係が変わります。
  相手との関係は、あなたが使う言葉次第、
  そして書き方、話し方次第です。
  気持ちいい人間関係を築く「言語戦略」で、
  人生を豊かにしましょう。

※お申込みは http://mf07.com/lesson.html からどうぞ


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2016年11月19日

なぜ「人を動かす文章」にならないのか

●必要な要素を足さず、不要な要素を強めてしまう

「秋の講座」受講者のみなさんから、文章に関するお悩みが続々と届いていますよ。

今日は当日の予習として、「なぜ文章がうまくならないか」という話をします。

こんなメールが届きました。


> もうかれこれ10年も仕事で文章を書いているのに、
> 上司には叱られるわ、集客の反応は薄いわで、落ち込みます。
> 即席に効果の上がる方法は無いものでしょうか。
> すみません。無いのはわかっているのですが……。


さすがは毎日書き続けているだけのことはあって、お手軽な方法がないことを知っていますね。

まあ、文章の力がガラリと変わるコツがないこともないのですが、ベースとなる「文章力」(基礎体力)が高まってからでないと、効果は上がりません。

上級者が受講する音楽のマスタークラスをイメージすると分かるでしょう。上級者は先生のたった一言で「あっ、分かった!」がありうる。長年感じていた「天井」を一瞬で突き抜けてしまうこともある。

ところが入門者が同じ指導を受けても、ベースができていないから、コツを聞いてもピンとこないし、技も使いこなせない。

「なぜ文章がうまくならないのか」というお悩みに対して、ひとつの答えを提示します。

それは、「必要な要素を足さず、不要な要素を強めてしまう」からです。

ほら、もしかしたらこの一言で、「あっ!」と気づいたかもしれません。

効果的な文章には、必要条件があります。必要条件を満たしていないと、文章の目的を達成することができません。

その条件を、仮に「A、B、C」とします。

この3つの条件を適切に満たしているのが、力のある文章です。

ところが、何かが不足していたり過剰だったりすると、文章には力がなくなり、「効果のない文章」になってしまいます。

不足とは、たとえば来店を促すチラシに「地図」がないようなもの。見た人はどうしたらいいか分かりません。

過剰とはたとえば、着付け教室のチラシに「教室の畳のイグサの品質や産地」から「教室の所在地の歴史」「講師が生まれた日に関する母親の思い出話」まで、講師のこだわりでなんでもかんでも記載するようなこと。

「知ってほしい」気持ちが強すぎると、そうなりがちです。

不足や過剰を簡単に記号で表すと、

(1)A、B
(2)A、B×2、C
(3)A、B、C、D

こんな感じでしょうか。

(1)は必要な「C」が欠けている。
(2)は「B」を過剰に語っている。
(3)は余分な「D」が全体の効果を下げてしまう。

ここで問題です。

(1)の人は、何をしたら文章が良くなるでしょうか。(2)の人は? (3)の人は?



●「言語行為」は会話も文章も同じ

答えは簡単ですね。

(1)の人は、Cを足せばいい。

(2)はBを適度なレベルに抑えればいい。

(3)はDを取り除けばいい。

ところが、問題はここからなんです。

多くの人の傾向ではあるのですが、「必要なことをやらず、必要でないことをやる」せいで、ちっとも「A、B、C」にならない。

文章や言葉に対する意識から変えないと、

(1)の人は「Cは好きではない」などと言いながら放置したままだし、
(2)の人は「Bが大事だと思うんです」とさらに「B×3」にしてしまう。
(3)の人は「Dにも興味を持つ人がいるかもしれないので」と相変わらず余計なことまで書いてしまう。

※ここ、すごく大事なところ!

だから、ますます「効果の低い文章」になっていくのです。

頭で理屈っぽく考えて納得しながら書こうとしているかぎり、「今までと同じ結論」しか出せないので、結局は「似たような文章の域を脱することができない」のです。

会話だろうとスピーチだろうと文章だろうと、すべての「言語行為」について言えることですね。

この流れを変えるのが、今回の「秋の講座」です。


【秋の講座】
日時:2016年11月26日(土)15:00〜20:00頃
場所:メイフェア(新潟市中央区寄居町)
料金:10,000円(お食事つき)
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:文章の書き方 〜 言語戦略
  言葉が変われば関係が変わります。
  相手との関係は、あなたが使う言葉次第、
  そして書き方、話し方次第です。
  気持ちいい人間関係を築く「言語戦略」で、
  人生を豊かにしましょう。

※お申込みは http://mf07.com/lesson.html からどうぞ


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2016年11月15日

【声のサロン】2017年の課題曲を発表します

●来年はトスティの「Rosa」(薔薇)から

「声のサロン」では、高度な発声法を丁寧に身につけていくために、課題曲もテーマを決めて組んでいます。

2016年は、「イタリア古典歌曲」を丁寧におさらいしましたね。

2017年は、新しいナポリターナのレパートリーを増やしつつ、トスティ、ドナウディあたりの名曲を取り上げます。

ということで、2017年の課題曲が一年分決まりましたので、発表します。

●Rosa(F.P.Tosti)……1月1、2
●Tu ch'hai le penne, Amore……2月1、2
●Musica proibita(S.Gastaldon)……3月1、2
●Ma rendi pur contento(V.Bellini)……4月1
●Torna a Surriento(E.de Curtis)……4月2
●Ti voglio tanto bene(E.de Curtis)……5月1、2
●Vittoria, mio core!……6月1、2
●Sogno(F.P.Tosti)……7月1、2
●Passione(E.Tagliaferri)……8月1、2
●Quando ti rivedro(S.Donaudy)……9月1、2
●Intorno all'idol mio……10月1、2
●'A canzone 'e Napule(E.de Curtis)……11月1、2
●Per pieta, bell'idol mio(V.Bellini)……12月1、2

いい曲ばかりですよ。一年が楽しくなります。

「新しい曲に取り組み続ける一年」になることでしょう。

必ずこの通りに進むわけではなく、曲の入れ替えも出てくるとは思いますが、しっかり取り組んでいきましょう。

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2016年11月03日

朗読トレーニングで脳を鍛えよう

●朗読は脳に良い

「次回レッスンまでに走れメロスのここまで覚えてくる」という課題を出していましたね。

次回レッスン日がもう今週ですから、そろそろ仕上げの段階ですね。

5〜7mくらい離れた場所にターゲットを設定して、「メロスは激怒した。必ず──」と読み続けられますか?

あるいは、「一文一息」(息継ぎなし)で読めますか?

といったことを意識し始めると、完璧に覚えられたつもりだった一節が、急に怪しくなるかもしれません。

「車の運転をしながら朗読の練習をしていると、道を間違える」と話していた方もいます。

私たちの脳は、ここまでマルチタスク(並行処理)が苦手なんですね。

これはもう、脳の仕組みがシングルタスク用にできているので、しょうがない。

向き不向き、適材適所、得手不得手といったところで、脳にマルチタスクをさせようとするのは、飛行機に乗らずに電車に乗って「なぜ飛べない?」「がんばれば飛べる」と言っているようなもの。

ただ、脳の仕組みをさらに詳しく知って活用すると、トレーニングによって「一見マルチタスク的な処理」ができるようになる。

喩えるなら、ローカル線の各駅停車が、新幹線になるようなものでしょうか。

言葉で説明するなら、「自動化できるほど熟練したタスクは潜在意識に渡してしまう」ことによって、複雑なタスクが処理できるようになります。

朗読でいえば、「喉あけ」をしようとした途端に「呼吸」が浅くなったり、「間違えないように読む」ことを意識した途端に「ターゲットまでの距離感」がなくなったりするのはむしろ当たり前。

複数のことを同時に意識し続けるのは、脳は苦手というより無理だからです。

しかし、「意識しなくても喉があいている状態」までトレーニングすれば、呼吸を意識するだけで「喉あけと呼吸が両立した状態」になる。

さらにトレーニングを重ねて、「意識しなくても深い呼吸ができる」段階まで進めば、声のターゲットを意識するだけで、「喉あけと呼吸とターゲットがうまくいっている状態」になる。

これが「トレーニングによる熟練」です。

こうして熟練していくトレーニングを重ねていくと、脳の質が変化して、脳の機能が高まると言われています。

実は朗読は、脳の機能を高めるトレーニングに最適なんです。

運動や言語や視覚や聴覚や感情などさまざまな脳の部位をフル活用しつつ、それぞれの要素をトレーニングによって自動化できる、つまり潜在意識に渡してしまえるのが、「ちょうどいい」加減なんですね。

車の運転のように、刻一刻と変化する外界の状況に対応するなど自動化できないタスクが含まれると、潜在意識に渡せずに常にモニターし続けなければならないので、脳に負担がかかって疲弊しやすい。

だから車の運転は時々休憩を入れたほうがいい。飛行機や電車の運転でも連続何時間以上の操縦は禁止と規則に定めているのは、それだけ脳を疲れさせる作業だからです。

脳も体も、良い鍛え方ならいくらでも強くなりますが、よくない鍛え方をしてしまうと、疲弊しきって伸びなくなってしまう。

筋トレも、やり方を間違えるとかえって筋肉がやせ細っていくそうですね。

その点、朗読はありがたい。

朗読トレーニングに没頭すると、発声と話し方のトレーニングとして効果的であるだけでなく、脳そのものを鍛える効果が高いからです。

朗読トレーニングで脳を鍛えましょう。

* * *

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2016年10月27日

成果を上げる「積み重ね」の仕方(ある程度の集中を延々と持続)

●時間を味方につけよう

成果は費やした歳月の積み重ねです。

「続けているだけで、ライバルが消える」って知っていますか?

仕事でも習い事でも、似たような時期に始めたり似た境遇だったり、実力が近かったりして、気になって仕方ない存在がいることがありますね。

たとえば空手道場に通い始めた小学生が、同じ門弟に2〜3人、気になって仕方ないライバルをいつも意識していたとします。

「あいつにだけは負けたくない」
「あいつのほうが強くなったから悔しい」
「強いあいつが今回の試合に出るから不安」

という具合に。

ところが、10年も続けていると、どうなるか。

「気になって仕方ない連中」が、ほぼ全員いなくなっているはずです。

だから、最初から気にする必要などなかったんですよね。

「あいつは目の上のたん瘤だ」
「あいつさえいなければこの立場は私のものなのに」
「あいつのせいで私の影が薄れる」

のようなネガティブな意識が無意味なばかりか、

「あの人をライバルとして意識して、共に切磋琢磨していきたい」

と一見ポジティブな意識の仕方でさえ、「他人との比較」を引き起こし、「一点集中」が阻害されてしまう原因です。

そんなマイナス要因も、ただ単に長く続けているだけで、確実に解消します。

時間を味方につけられる人に、敵などいないのです。



●ある程度の「集中」を延々と「持続」

トレーニングで伸びるコツは、ある程度の「集中」を延々と「持続」。

どういうことか、分かりますか?

「集中と持続」が大事なことは、もうよろしいですね。

しかし、「ある程度の」と「延々と」が実は大事。

瞬間風速的に一瞬の「強烈な集中」を発揮するのは、難しくありません。

たとえば、メイフェアのパフェを強烈に気に入って、連日通う人も、わりといる。一日のうちに2回も食べたりして。

ただし、そんな「強烈な集中」はごく短期間で終わりを迎えます。長くても1ヶ月程度か。

もっとゆったりとした、週に1〜2回くらい、あるいは月に2〜3回のペースで、3年も4年も通い続けている人となると、ごくごく少数になる。

熱しやすい人は、冷めやすい。だから続かない。

ある程度の「集中」を延々と「持続」できるのは、熱しやすくなくても、なかなか冷めないタイプ。

あるいは、「冷めない工夫」ができるタイプです。

発声トレーニングだとしたら、「気が向いたらトレーニング」は冷める方針です。「気が向こうが向くまいが関係なくトレーニング」が冷めないタイプ。

「強烈な集中」ではなくても、当たり前のように、やる。

「温かさが延々と続く」感じでしょうか。

『走れメロス』を暗記しながら、「なかなか覚えられなくて大変」「○○さんなどはすぐに覚えてしまうのでしょうけれど」とメールをくれた方がいましたが、気にする必要はありませんよ。

人と比べてもプラスにならないから、その意識が消費するエネルギーがもったいない。

「なかなか覚えられない」としても、当たり前のように延々と続ける人が、最後には最も伸びるのですから。

ある程度の「集中」を延々と「持続」して、良い「積み重ね」をしていきましょう。

新潟ガラコンサート
(積み重ねの成果を出すのはこのホール)

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2016年10月26日

次回レッスン日までの課題──走れメロスの朗読課題

●「走れメロス」を覚えてみよう

「声のサロン」会員のみなさん、発声トレーニングをしていますか?

「しないと落ち着かない」「しない日は調子が変」くらいになるまで、丁寧にトレーニングの積み重ねをして、完全に習慣化できると、声の技術が着実に伸びていきますよ。

さて、課題です。

次回のレッスン日までに、「走れメロス」の資料の半分まで暗唱できるようになっておいてください。

「王様は人を殺します」「なぜ殺すのだ」までですね。

できるだけしっかりと声を出しながら練習すると、覚えられますよ。

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●積み重ねよう

トレーニングは「積み重ね」です。

積み重ね……なんとも月並みな、陳腐な言葉ですね。

スポーツでも習い事でも、トレーニングや練習が必要な物事であれば、どこでも耳にする言葉でしょう。

しかし、今日からきっとあなたにとって、「積み重ね」という言葉がもう少し重要な意味を持ちます。

「継続」や「習慣」も、同じ文脈で見聞きする言葉ですね。

何かを身につけたり、技術を向上させたりしたいなら、途切れることなく「継続」して、「習慣」にするのがいい。

それは誰でもよく分かっている。

ところが、「継続」が途切れたり、「習慣」が途絶えてしまったりしやすいタイミングがいくつかあります。

そのひとつが、病気。

風邪をひいたり高熱を出したりすると、生活のリズムが変わり、毎日のトレーニングが途絶えてしまう。

熱が下がったら当たり前のように再開できる人はいいのですが、元のリズムに戻れないことがある。

完璧主義の人ほど、いったんリズムが狂うと弱い。

「せっかく毎日欠かさずにやってきたのに、継続が途絶えてしまった」とガッカリして、再開する気にならないのです。

「やらないより、やったほうがいい」のは当たり前なのに、「完璧にやれないなら、やらないほうがマシ」になってしまう。

「100点が取れないなら、やらないほうがマシ」のタイプは、伸びにくい。

「70点より、75点になったら、もっとうれしい」タイプは伸びる。

だから、「積み重ね」です。発声トレーニングは「積み重ね」で行きましょう。

つまり、「毎日欠かさず続ける」という100%を求めず、「丁寧に積み重ねをしていく」。

「継続」に命をかけるのではなく、「積み重ね」を淡々と続ける。

この違い、分かりますか?

インフルエンザで高熱を出して3日間寝込んだとして、「継続」にこだわる人の場合、「100日も継続してきたのに、また1からやり直しだ。あ〜あ」と気が重い。

ところが、「積み重ね」を大切にする人は、もっと柔軟で、強い。

「100日の積み重ねをしたから、今日は101から再開だ」と、今までの積み重ねの上にさらに重ねていくことを考える。

この違いは、大違いです。

一回一回を貯金していく感覚で、積み重ねていきましょう。



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2016年10月23日

一点集中力を高めよう……集中の持続がすべて

●一点集中力をどこまで高められるか

共鳴は、「集める」感覚が重要です。

「絞る」とも言える。

一点集中をどこまで絞れるか。

共鳴のトレーニングだけでなく、すべてのトレーニングに通ずる原理原則ですね。

ぎゅ〜っと絞り込んだままでいられるか。

これがなかなか難しいんですよね。絞りがゆるんでくる。気が散ってくる。

ルーペ(虫眼鏡)で太陽光を一点に集めて、黒く塗った紙を燃やしたことはありますか?

小学生の私はこの遊びが大好きで、直径14〜15cmぐらいの大きなルーペを親にねだって買ってもらって、晴れた日にはいろんなものを燃やして遊んでいました。

すごいんですよ、この巨大ルーペ。紙を黒く塗る必要がない。

光を一点に集めさえすれば、白い紙のままですぐに煙が出て、ボッと火がつく。

これがもし、光を集めないただのガラスだったら、一日中やっていても何も起こりません。

ギュッと一点に絞り込むことで、現状を打破する「貫通力」が生まれ、変化が生じるんですね。

大事なのは、「集中と持続」。

小さな一点に「集中」している状態を長く「持続」できれば、良い刺激の積み重ねになり、成長したり質的に向上したりと、成果を上げることができます。

どちらかが欠けると、積み重ねにならず、成果が上がりません。

ギュッと絞り込んだ状態を、長くキープできますか?



●絞る力は、絞る勇気

「絞る力」はきわめて重要です。

何かに取り組む方々を見ていると、大きな成果を上げる人は、「絞る力」が強い。

これは「絞る勇気」ともいえるでしょう。

「私はコレでいく」と絞る勇気が持てた人は、そこから人生が始まるかのように、良い積み重ねを始めます。

しかし、なかなか勇気が出ないんですよね。その気持ちも分かります。

ピアノを弾きながらも、「本当にピアノでいいのか」「もしかしたらほかの楽器で才能を発揮できるのではないか」と疑念を生じたり。

「絞り込んでいないのに、うまくいっている(ように見える)人」の例を考えてしまったり。

先日も聞きました。知り合いのミュージシャンが多才な人で、ピアノも弾くしチェロもできるしフルートも吹けるし、ほかにも名前を知らないような珍しい楽器をいくつか演奏するのだそうです。

「ああいう人は例外なんでしょうか。できれば私もあんなふうになりたいと思ってしまいますが、やっぱり一つに絞ったほうがいいのでしょうか」

なるほど、「一点集中していなくても、うまくやれている人がいるじゃないか」ということですよね。

しかし、見方を変えれば、やはりその多才なミュージシャンも「一点集中」しているはず。

たとえば「オレは“音楽”でやっていくことにした」と、「音楽」以外の仕事は一切考えない人生を生きる決断をしたかもしれない。

「音楽」というパッケージで捉えているから、一点集中なんですよね。

「だったら私も、“音楽”とパッケージにすれば、いろんな楽器ができるようになりますか?」

あるいはできるかもしれません。

ただ、「オレは音楽でやっていく」という覚悟は、そう気軽なものではありませんけれどね。



●それは一点集中ではありません

ただ、気をつけなければならないのは、「一点集中」と「やることを減らす」は、イコールではない、ということです。

ある物事に付随する別のことは、まとめてパッケージとして捉える必要があります。

たとえば、おいしい紅茶をいれるのに、お湯の温度、抽出時間、水質が大事だとしたら、この3つをまとめて「おいしい紅茶のいれ方」としてパッケージにして、全体で「一点」と捉えて集中すると、うまくいきます。

「お湯の温度とか水質のことはどうでもいい。私は抽出時間に一点集中で命をかける」と言って、0.1秒単位でこだわって計時しても、あまりおいしい紅茶にはならない。

一点集中はきわめて重要ですが、集中しようとして、結果的に「パッケージが欠けた」だけにならないように気をつけましょう。



●すべてのトレーニングが繋がっていますね

発声もそうですね。

「朗読に一点集中したいから、歌はやらない」では、発声技術がそこそこで止まってしまう。すべてひっくるめて「声のトレーニング」です。

「すべてのトレーニングが繋がっていますね」とメールをくれた方がいます。

実感がこもっていました。

歌のトレーニングも、朗読のトレーニングも、会話のトレーニングも、言葉のレッスンも、文章の書き方も、すべてが繋がっていると実感できたのでしょう。

朗読で良い感覚をつかむのに、歌で練習したテクニックが応用できる。

会話に悩んだとき、文章の書き方で知った型の根拠が役に立つ。

だから、すべてのトレーニングを無理なくひとつのパッケージにできるわけです。

だから歌に朗読に会話に文章に言葉に紅茶に取り組むのは、「いろいろなことをしている」のではなく、「強烈な一点集中」なのです。

「えっ、紅茶も!?」

そう、紅茶を飲む時間は、紅茶に含まれている成分からしても、心身の使い方からしても、一点集中のトレーニングですよ。

さて、ゆっくり紅茶を飲みながら、一点集中を鍛えましょうか。

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posted by テノール齋藤 at 19:46| Comment(0) | 声のサロン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月17日

【歌声の会】声を聞く力が育っている

今日は新潟市で「歌声の会」の定例会でした。

ご参加のみなさん、お疲れさまでした。良い時間でした。

今日は特に、「良い声」のパワーを実感しましたね。

言葉がなくてもみなさんの様子を見ているだけで、よく分かります。

声の違いが分かるって、実はスゴイことですよ。

発声トレーニングを真剣にやっているからこそ、違いが分かるようになったんですよね。

本物の「聴く力」が育ってきた証拠です。



●「良いものを良いと感じる」とは

誰でも声を聞いて「いい声ですよね」とか「この歌手の声が好き〜」なんて言いますね。

それはそれで、まあいいわけです。好きずきで。

ところが、訓練を受けて耳が育ってくると、反応に規則性が出て、安定します。

規則性とは、つまり「声帯の使い方」「喉の開き具合」「声の支え」「共鳴の集め方」などポイントを外さずに反応する、ということです。

声帯の使い方を例に挙げるなら、空気漏れをしてしまうのは声帯に負担がかかって無駄が多い、よくない使い方です。

いわばガソリンタンクからガソリンを漏らしながら走っているようなもので、「でもこの車が好きだから、これでいい」というわけにはいきませんよね。「好きずきだから」と悠長なことを言っていないで、修理したほうがいい。

声を聞く力がまだ育っていないうちは、「声以外の要素」に惑わされます。

「好きな人の声は好き」「嫌なヤツの声は嫌い」のように。

しかし、耳が育つと、純粋に声を聞くことができるので、「嫌なヤツだが、発声の基本はできている」のように客観的にフェアな反応ができるようになる。

「良いものを良いと感じる」状態といえるでしょう。



●耳が開いたから、感動した

この状態を「耳が開いた」と呼ぶことがあります。「聞く能力が開花した」状態です。

語学でも使いますね。英語を勉強していて、ある日突然「聞こえる」ようになる。次に続く言葉が先取りして分かるようになる。

「次に続く言葉が分かる」なんて、耳が開いていない人からは「超能力者でもあるまいし、それはありえない」と否定されますが、でも不思議でもなんでもありません。

ネイティブスピーカーなら誰でもやっている当たり前の聞き方です。日本人なら「いえいえ、そういうわけには」まで聞き取ったら、続く言葉が予測できますよね。

「いきません」「まいりません」「いかないでしょう」

このくらいの候補に収まりますよね。

しかも、どれにしても意味はそんなに違わない。

すべての言葉、すべての音を正確に聞き取らなくても、コミュニケーションはできるし、次に来る言葉がだいたい分かっていれば、すべての音を正確に聞き取ることだって簡単でしょう。

こういう「言葉の予測」は私たちは頻繁におこなっています。

予測できるということは、意識の節約ができるし、音の聞き逃しに強くなる(意味の取り違えが少なくなる)ということです。

「あ、その映画だったら、私、観たこと」と来れば、まず間違いなく「あります」と続きますね。

「ありません」が続く確率はきわめて低い。

「あ、その映画は、私、観たこと」と、「だったら」が「は」になると、「ありません」が続く確率が五分五分くらいに跳ね上がります。

しかし、「だったら」ならほぼ確実に「あります」と肯定になる。

だから、「だったら」なら「あります」までしっかり聞き取る必要がなく、聞き流して意識を節約できる(別のところに集中できる)し、「は」だったら最後まで意識を向けて正確な聞き取りを心がける。

こういうことを、ネイティブスピーカーは無意識のうちにやっている。

外国語でも同じレベルの判断が利くようになると、耳が開いて、余裕をもって聞き取りができるようになるわけです。

語学まで話が広がってしまいましたが、声に関して「耳が開く」と、その声の状態を──言葉や発話者に惑わされずに──聞き分けられるようになります。

多くの人が聞き取れないものが、手に取るように聞き取れるようになります。「なんとなく」ではなく「明らかな違いとして」聞き取れる。

今回の「歌声の会」では、そんな力を自分が身につけつつあるという自信がついたのではないでしょうか。

本物の「聴く力」が育っていますね。



【歌声の会】
日時:不定期(こちらのカレンダーでご確認ください
場所:フェルマータ2階(新潟市中央区上近江)
料金:3,240円(中学生以下は半額)
内容:日本の古い歌でハモる

「歌声の会」は、日本の古い唱歌でハモる会です。
 詳しくはこちらのページをどうぞ。
   ↓
http://mf07.com/song.html

※歌声の会は共に歌うメンバーを随時募集しています。
 ご参加くださる方は、事務局のメイフェアまで
 お電話(025-211-7007)ください。

タグ:耳が開く
posted by テノール齋藤 at 04:08| Comment(0) | 歌声の会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする