2017年05月01日

【文章の書き方】クオリティを意識しすぎなくていい

「文章の書き方」トレーニングに取り組んでいる方に、アドバイスをします。

今、「30本課題」が出ていますね。「春の講座(5月27日)までに文章を30本書く」という課題です。

締切まであと1ヶ月、というタイミングで「今、何本書けましたか?」とみなさんに尋ねたところ、4本から62本までバラツキがありました。

バラッバラですね〜。

「だいたい半分くらいまで来ていて、残り1ヶ月であと半分」くらいの方が最も多いようです。

GWもあることだし、字数はたったの300字だし、今から「ゼロベースでスタート」でもやり遂げられる課題ですから、そんなに気負わなくても大丈夫ですよ。


「文章が書ける人」になるために、今回の課題の注意点を3つ挙げておきます。

この3つを外してしまうと大変な課題ですが、3つを守れば急に楽になるはずです。


1. クオリティを意識しすぎない
2. 30本はとにかく書く
3. 職場の日報を書くように「仕事として書く」感覚で取り組む


それぞれについて、簡単に説明していきますね。



1. クオリティを意識しすぎない

「良い文章にしよう」「こんな下手な文章では笑われるかも」なんて思ったら、書けなくなります。

というより、「良い文章かどうか」を判断できる力も、これから文章を書きながら身についてくるのです。

今の段階で自分の文章を「良い、悪い」と判断してしまったら、たいてい「悪い」ほうに傾きます。

何かを身につけようと思ったとき、「自分感覚」が最大の敵なんです。

鳥山明の絵に憧れてイラストを描き始めたばかりの人が、「あんな絵が描きたいのに、自分はぜんぜんダメだ。才能がないんだ」と落ち込んでいたら、もったいないですよね。

「描き始めて数ヶ月にしてはイイ線いっている」かもしれないのに。

何事も、数稽古といって、数をこなすことでのみ分かることがあります。

そのための課題が、今回の30本課題です。

クオリティなんて後から上がってきますから、今は「課題の条件さえ満たせば何でもいい」くらいのつもりで書いてください。

そうそう、字数だって気にしすぎなくていいのですよ。

完璧主義の人が陥りがちな「数字合わせ」にならないようにしましょう。時間がかかって停滞する原因です。

もし私が「すべての記事を○字に揃えたくて、今回は読点を増やしてぴったり○字にしました!」なんてこだわっていたら、ナンセンスでしょう?



2. 30本はとにかく書く

だから、30本はとにかく書く。

先ほどは「クオリティはどうでもいいから」なんてゆるいことを言っておきながら、急に厳しい話になりましたね。

でも、何かを身につけたいとき、自分を追い込む感覚は必要です。

締切間近の作家をホテルの一室に“缶詰め”にしてしまう感覚。

自分をボクシングのリングや相撲の土俵に上げてしまう感覚。

資格試験の通信講座にエイッと申し込んでしまう感覚。

つまり、「もう後がない」「引くに引けない」状況に自分を置くと、身につきます。

30本課題が出たときに、「30本か。ということは、今日から数えるとあと何日だから──」と、30本を書くことを前提で考える人と、「30本か。無理かも。でもまあ、やれるところまでやってみるか」と、やり遂げることが前提にならない人がいます。

もちろん、前者だけが良いものを身につけます。

「30本を書けるかどうか」ではなく、「とにかく30本を書くために、どうしたらいいか」を考えましょう。



3. 職場の日報を書くように「仕事として書く」感覚で取り組む

そのためのヒントが、「仕事として書く」意識です。

文章力はあなたの仕事に役立つのだから、仕事として取り組みましょう。

たとえば職場で日報を書くのがあなたの役目だとします。

だとしたら、とにかく書きますよね。

上司が受け取ってくれるだけの「内容」を盛り込んで、「意味が通じる文章」にしようとするでしょう。

文章の品質だとか品格なんて考えない。

「書けるかどうか」も考えない。

「書けませんでした」と投げ出す可能性も、考えない。

書き方が分からなかったら、上司に相談するだけでしょう。

みなさん一人一人仕事が違いますが、自分の「仕事として、することになっている」ことに置き換えてみてください。

PowerPointでプレゼンテーション資料を作る仕事を与えられたら、なんとかして作りますよね。「パワポが苦手なんで、できませんでした」というわけにはいかない。

取引先への発注メールも、「送れたら送る」ではなく、とにかく送るでしょう。

「朝8時に出勤」と言われたら、「来られたら来る」「8時に来られるように努力する」ではなく、とにかく来ますよね。

それが仕事として、プロとして何かをする意識です。

文章に対して、仕事として取り組む意識を高めましょう。

「苦手なんで」「書けたら書く」「書けるように努力する」ではなく、とにかく書く。

「とにかく書く」にはどうするかを考えるなら、有効な思考です。


さあ、書きましょう。


【春の講座】
日時:2017年5月27日(土)15:00〜20:00頃
場所:メイフェア(新潟市中央区寄居町)
料金:10,000円(お食事つき)
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:文章の書き方 〜 言語戦略
  言葉が変われば関係が変わります。
  相手との関係は、あなたが使う言葉次第、
  そして書き方、話し方次第です。
  気持ちいい人間関係を築く「言語戦略」で、
  人生を豊かにしましょう。

※お申込みは http://mf07.com/lesson.html からどうぞ

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新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
ウェブ:http://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
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2017年04月25日

【声のサロン】今後の課題曲

●今後の課題曲リスト

「声のサロン」会員にご連絡です。

「Musica proibita」(S.Gastaldon)をじっくり歌い込みましたね。

今後の課題曲は、次のような感じで進めていきます。


・Gia il sole dal Gange(Alessandro Scarlatti)
・Ti voglio tanto bene(E.de Curtis)
・'O sole mio(E.di Capua)
・Passione(E.Tagliaferri)
・Vaga luna, che inargenti(V.Bellini)
・Sogno(F.P.Tosti)
・Torna a Surriento(E.de Curtis)
・Per pieta, bell'idol mio(V.Bellini)


以前に発表したものから少々変更があります。

今年はかなり負荷をかけてガンガン進めていく予定でしたが、かえってあっさり通り過ぎるだけになったらもったいないので、復習も入れながら新しい曲に取り組んでいきましょう。

歌うと気持ちいい名曲ばかりです。

次回は「Gia il sole dal Gange」。

古典歌曲は歌い込むほどに良さが分かってきますね。

じっくり歌って、良い発声トレーニングにしましょう。



※声のサロンは、良い声で話せるようになる
 ボイストレーニング話し方教室です。
 日本発声協会が認定する話し方発声法の基本、
 共鳴発声法が学べます。
 平日コースと週末コースがあり、フェルマータを会場に
 月2回ずつ開催されています。

 新規に受講をご希望の方は、事務局(メイフェア)まで
 お電話(025-211-7007)ください。

 詳しくはこちらから。
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http://mf07.com/lecture.html

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2017年04月24日

【新潟ガラコンサート】出演者のみなさん、お疲れさまでした

●課題を書き出しておこう

昨日は第2回新潟ガラコンサートでしたね。

出演なさった方はお疲れさまでした。

でも「お疲れさま〜」だけで終わるわけではありません。

発声・話し方のトレーニングをしている方にとって、ガラコンサートは「トレーニングの一環」という意味合いがあるからです。

ステージの上で大勢と向き合い、何かを伝えるのは、究極の「伝える場」ですね。

緊張感も強い。

だからこそ、「人前で話す、伝える、表現する」トレーニングにとって実に大きな効果があります。

昨日、ガラコンサート後に「素敵だなあ」と感じたのは、出演者のみなさんに感想を聞いたときに返ってくる答えが、「終わってホッとした」だけではないこと。

「気をつけようと思っていたのに、本番でうまくいかなかったことがいくつかあって、これからの課題です」

「来年の歌を決めたいので、相談に乗ってください」

「今年は練習が足りなかったので、来年に向けて1年かけてじっくり練習します」

と、意識が早くも1年先に向いているのです。

ガラコンサートを大きな節目と捉えず、自分の課題を見つけ出すための機会と捉えている。

もちろん緊張感や準備を考えたら大きな機会には違いないけれど、それでも「終わって燃え尽きた」という雰囲気ではない。

受験生が受験で燃え尽きて、せっかく合格して入学できたのに無気力になってしまう燃え尽き症候群や五月病なんてありますが、やっぱり「考え方」も影響するのでしょう。

「大きな節目」「ついにやり遂げた」「一段落ついた」という感覚があると、その先への継続が危うくなる。

受験は合格後が大事、就職活動だって入社後にどう働くかが大事。合格したから終わり、ではないんですよね。

途切れずに続いていく時間を意識すると、「積み重ね」ができます。

トレーニングは「積み重ね」ですからね。

さて、昨日の記憶が濃いうちに、振り返っておきましょう。これもトレーニングの一環ですよ。

本番では「こうしたかったのに、できなかった」「練習ではできたのに……」といった反省点があったでしょう。

それをすべて書き出しておいてください。

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2017年04月19日

【新潟ガラコンサート】ホールの響きを味わおう

●当日はホールの響きを堪能しよう

第2回新潟ガラコンサートまで、あと3日となりました。

出演者のみなさんは最後の調整に入っている頃でしょうか。

臨場感を得ようとドレスを着て練習をしている方もいるそうです。

「なんだか緊張してきてしまって……」という声も聞こえてきましたよ。

もうここまで来たら、やることはやったのだから、あとはもう、当日はリラックスして楽しみましょうね。

「今の自分」にできる精一杯をすればいいだけです。

「自己ベスト」という意味ではありません。ちょっぴり練習しすぎて喉がイマイチなら、その状態での精一杯、という意味です。

調整がバッチリうまくいったらいったで、余裕をもってリラックスして楽しめばいい。

当日は「ホールの響きを味わう日」ですからね。

1年前よりもっと、「響き」を感じる余裕があると思いますよ。

もしかしたら、「響き」が初めて分かる方もいるかもしれません。

ステージを独占して、自分が出す声や音がホールと共鳴するなんて、なんと贅沢な時間でしょう。

ある演奏家は、「あんなに音響の良いホールで演奏できるなんて、うらやましい」と、都合で出演ができないのを悔しがっていました。

別の演奏家は、「いつも何人かで演奏するから、ホールの独占なんて贅沢すぎる」と話していました。

まさにそのとおり、「ホールを独占して響きを味わう」のは、そうそう体験できる状況ではありません。

楽しみましょう。

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2017年04月09日

【声のサロン】声の感性を育てよう

●自分感覚を捨てると伸びる

ちょっと前にこんなメールが届きました。


> 今日の先生の説明で、
> やっぱり自分感覚で練習していてもダメなんだと
> はっきりわかりました。
> 母音のイがいい音になっているなんて、
> 全然気がつきませんでした。


おもしろいもので、自分では気がつかないんですよね。

「イの色が良くなった」と言われてはじめて、「そうだったんだ」「このイが良いイなんだ」と気づく。

本人の感覚では、「良いイになっている」とは感じていなかった。

しかし、普段から丁寧にトレーニングしているから、母音イは殊更に意識をしながら発している音だったはず。

だから、気づかないうちに良い色のイになっていたんですね。

これがもし、「べつに良いイになどなっていない」と感じながら一人でずっと練習していたら、せっかく獲得した発声技術がまたズレていたことでしょう。

あらゆるトレーニングについて言えることですが、「自分感覚」に頼ると伸びません。

「聴く耳」は生まれつき持っているわけではなく、トレーニングで獲得するものです。



●トレーニングで耳が育つ

トレーニングで「聴く耳」が育つプロセスは、次の段階で進みます。

1. 良い発声とそうでない発声の区別ができる
2. 良い発声を心地よく感じる

まずは、良い声かどうかの「区別」ができる段階です。

この耳が手に入ると、一人でトレーニングしている期間に大きくズレることがありません。

でも、そこで終わりではない。

「良い声を心地よく感じる」段階に至ります。

「区別」から「感性」へと進むのです。

「分かる」だけでなく、「感じる」。

先ほどの「イ」を聴いて、「良いイだな」と自分で分かるのが最初の段階。

そのイを聴いて「気持ちいい」と感じ、そのイからズレると「なんかヘン」「気持ち悪いな」と感じるのが、次の段階。

そこまで来たら、本物の「声の感性」が育ったといえるでしょう。

ただし、「区別」にも「感性」にも共通して必要な条件が、「良い声を出す技術を持っている」こと。

「出せる」技術があって、はじめて「これでいい」と確信が持てるし、その判断に説得力が出る。

「良い声が出せる」技術を目指してトレーニングしましょう。

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2017年04月06日

【朗読】しゃべるたびに話し声のトレーニング

●「仕事中はつい声の意識が薄れてしまう」

話し声について、こんなメールが届きました。

> 練習ではしっかりした声が出ている気がするのですが、
> 仕事中はつい声の意識が薄れて、届かない声になってしまいます。

分かります。

発声トレーニングでは、しっかりした発声を身につけるために、遠いターゲットを想定して声を出すのが有効です。

3〜5m前方にぬいぐるみを置いて発声トレーニングに使うのもいい。

しかし、実際のおしゃべりで3m離れた相手と会話をするケースは、まずありません。

3m離れた相手を「呼ぶ」ことはあっても、そのまま延々と会話を続けはしないでしょう。

私たちはたいてい、120cm以内の近距離で会話をしています。商品やお金を手渡す場合は50cm程度まで近づいて、しばらくそのまま話すこともあります。

だとしたら、3m先の相手に話しかける声量で会話をする機会はほとんどない、ということです。

もちろんトレーニングには負荷が必要ですから、剣道の竹刀に重りをつけて素振りの稽古をするのと同様、発声トレーニングで遠くまで声を届けようとするのは有効であり、必要でもあります。

とはいえ、実際の場面で発声技術を使いこなせていないのでは、しょうがない。

使えてこそ技術ですからね。

歌声を話し声に適用するように、遠距離ボイスを近距離ボイスに適用していきます。



●響きの感覚を味わいながら話す

相手までの距離が近いと、「ターゲットの意識」が持続しにくい。

無造作に声を出しても、聞こえはするからです。

そんなときは、「響きの感覚を味わいながら話す」ように心がけてみてください。

トレーニングでつかんだ響きの感覚を、口蓋を中心に味わいながら話すのです。

『坊っちゃん』や『走れメロス』で朗読しながら、口の中に感じる振動が一定の強さをキープするように練習するといいでしょう。

「響きが途切れないように、消えないように」と意識すると、やりやすいかもしれません。

しゃべる機会はすべて話し声トレーニングにしましょう。

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2017年03月27日

【声のサロン】力みを除いたときに本物の声になる

●歌もしゃべりもリラックス

良い声を出すには、リラックスが大事。

体を楽にして声を出していますか?

「歌としゃべりの発声は、どう違うんですか」とよく質問されるのですが、話し声も歌声も基本は同じ、声帯の振動音に共鳴を加える発声法です。

声の高さや持続時間、強さなどに違いがあるとはいえ、「肺からの呼気で声帯を振動させて喉頭原音を作り──」といった基礎となる発声のメカニズムに違いはありません。

「体を楽にして、無駄な力を入れずに発声」も、共通のポイントです。

ガチガチに力んでいませんか?

のびのびと楽に声を出しましょう。



●力がなかなか抜けない……

とはいえ、気づくと力んでいるでしょう。

「あ〜あ、さっきも意識してリラックスしたばっかりなのに」と悔しくなるかもしれません。

でも、発声は筋肉運動ですから、必要な筋肉だけでなく、不要な筋肉もつい使おうとしてしまうのは、仕方ないんです。

すごく重いダンベルを持ち上げようとしたときに、上腕二頭筋とはまったく関係ないはずの顔の筋肉が緊張して、ニカッと笑っているような顔になったりするでしょう。

腕と顔ほど離れていても、ですよ。

まして、声帯まわりの筋肉の操作法をトレーニングしているときに、すぐ近くにある首や肩、背中に力みが生じるくらい、むしろ自然な反応です。

だとしたら、練習の段階で肩や背中に力みが加わっても、目くじら立てずに流しましょう。

流すといっても、「放置する」のではなく、何事もなかったかのようにスッと力を抜いて、あとは囚われない。

「後から抜く」のも有効なトレーニングです。

共鳴発声法の正しい「形」を作ることに意識を集中するがあまり、つい力んでしまい、それでも形としては良い構えになって、ピーンと気持ちいい響きが出ることがあります。

そのときは、「力んでいたからダメ」ではなく、その声を出しながら力を抜けばいい。

「形」にとってマイナスな力みもあって(舌や喉の力み)、その場合はピーンに入りにくく無理がかかりますが、「形」を作る上ではさほど影響しない力みもあります。

喩えるなら、管楽器のマウスピースには問題ないが、管にわずかな歪みがあるようなもの。

どこかに力みがあったとしても、そこそこ良い声が出たのであれば、それはそれで発声の進歩です。



●スイートスポットに入れ直せたら合格

良い声が出たら、あらためて脱力すれば、それでいい。

さらに、脱力したままスイートスポットに入れ直せるかを試してみます。

「形」をしっかり覚えていれば、リラックスして仕切り直しても、何回でも入れ直せるはず。

リラックスしてスイートスポットに入ったとき、声は本物になります。

ただし、「リラックスして」と「無造作に」は違いますよ。

「がんばらなくても楽に良い声が出せるレベル」を目指そうとして、「無造作に声を出す」になってしまうケースがあるのです。

細心の注意を払って、全力で「形」を整えましょう。

こんなメールが届きました。

> 小手先で無難に歌っても何にもならないので、
> 基礎をしっかり鍛えます。

まさにそのとおり。

すべてが載る「基礎」が一番大事です。

基礎から本物の良い声を育てましょうね。

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2017年03月26日

【声のサロン】継続によって身についた技は本物

先日、ある方がガラコンサートへの出演を尻込みしていました。

「だってみなさん、声が前とはぜんぜん違うじゃないですか」

つまり、「声のサロン」に通う会員たちが着実に実力を伸ばし、発声の技術が以前と比べてまるで別ものになっているのが分かり、「そんな方々と一緒に出演するのは恥ずかしい」という。

たしかに、会員のみなさん、声が以前とはぜんぜん違いますね。

今まで発声を習ったことのある方もない方も、共鳴発声法をきちんと習うと、発声技術が格段に上がります。

歌声も話し声も、共鳴発声法を覚えて2年もすれば別人の声になります。もちろん「正確にトレーニングすれば」という条件付きではありますが。

意外にも、成長に気づいていないのは本人ばかりで、2年前の自分と現在を比較したら、声の変わり方に驚くはずです。

別の会員は、「以前に録音した自分の声を聞いてみたら、あんな声を出していたのかと恥ずかしくなりました」と話していました。

そうでしょう。当時は知らぬが仏、恥ずかしく感じるだけの「声のリテラシー」がまだなかったのです。

すべてはトレーニングの「継続」によって獲得した成果です。よくがんばっていますね。

継続によって身につけた技術は、本物ですよ。

「以前の声が恥ずかしい」と感じるのは、「声を出す力」だけでなく「声を聞く力」も育ってきた証拠です。

同じ理由で、「だってみなさん、声が前とはぜんぜん違うじゃないですか」と尻込みしていた方も、みなさんの成長ぶりを聞き取る「声を聞く力」があるのだから、自信を持っていい。

当日は「今のせいいっぱい」を披露しましょう。



●比べる相手は「以前の自分」

もっとも、比較する相手は「みなさん」ではなく、「以前の自分」ですよ。

これから毎年ガラコンサートに出るのだから、1年前の自分と比べて、少しでも良い声で歌える成長を積み重ねていったら、それでいいではありませんか。

発声・話し方トレーニングは「継続する力を養うトレーニング」でもあるので、続けるコツとして覚えておいてください。

「他人と比べず、以前の自分と比べる」のが、物事を長続きさせるコツです。

ついでにもう一つコツを挙げておくと、「身近な人の評価は気にしない」。

身近な人ほど、マイナスの評価をしがちです。悪気はないのですが、そういうものなんですよね。

「ちっともうまくならないね」「才能ないんじゃない?」等など、マイナス評価を口にする人が身近にいるなら、一切耳を貸さないことです。

言われれば気になって、落ち込んだりするかもしれませんが、「声のプロではないのだから、成果を正当に評価できなくて当然」と解釈したらいい。事実、そうなんです。

日々コツコツ積み重ねている成果を台無しにされないように、他人と比較することなく、他人の言葉に一喜一憂することなく、じっくりと本物を育てていきましょう。

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2017年03月25日

【声のサロン】「継続」以上に大事なことは、何もない

前回の記事を読んだ方から、こんなメールが届きました。


> 声のサロンのブログに書かれていた「姿勢まで含めてレッスン」
> これは成果だけに目を向けていると薄らいでしまいますね。
> 当日の成功よりも、それまでの、そしてそれ以降の取り組みこそが大事。
>
> むしろ、そちらのほうがメインで発表当日のほうが
> 長いスパンでみたら一瞬で通り過ぎるものですよね。
>
> イベントのようなものは華やかで、つい目を奪われがちになりますが
> 演奏者であるならば、ふだんの取り組みこそ重要視しなくてはらないと
> あらためて感じました。


まさにそのとおりですね。

一時の盛り上がりではなく、「続いている」「繋がっている」ことが大事。

だから、ガラコンサートを特別な出来事と捉えるのではなく、連綿と続く流れの中のひとつと捉えるのがいい。

価値ある何かを手に入れるのに必要な条件はいくつかありますが、すべてのケースに例外なく当てはまる条件が「継続」です。

スポーツや音楽をなさっている方なら、誰もがよく分かっている真理でしょう。

超人と呼ばれるスポーツ選手、天才と称される音楽家、名人と讃えられる芸術家を目の当たりにすると、つい「凡人には計り知れない天賦の才能」と称賛したくなりますが、計り知れないのは「費やしてきた時間」であるはず。

「そこまで時間を費やしてきたなら、できて当たり前」と言いたくなるくらい、途方もない時間をトレーニングに費やしてきたにちがいありません。

だとしたら、希望が持てますね。

「生まれつきの才能より、費やした時間」なのであれば、すべての人にチャンスがある、ということです。

逆にいうと、「継続」が途絶えたら、すべての人が──どれほど才能に恵まれた人であっても──チャンスを失うのですから、安心ばかりはしていられませんけれどね。

繋がりが途絶えないように、続けましょう。



●共鳴のスイートスポットに「入れっぱなし」

共鳴のスイートスポットに入ったら、「入れっぱなし」をキープするよう意識してトレーニングしましょう。

スイートスポットから外れたときに、「入れ直す」のは大事ですが、それ以前に「外れないようにする」ことが優先です。

まさに「継続」ですね。

まずは、ピーンの感覚を得るために「えいっ!」とパワーで押し切るのではなく、「技で入れる」ように、スイートスポットに入れるのでした。

「えいっ!」という勢いでやっつけるのではありません。「ちょっとしたコツ」でもありません。

時間を積み重ねて育てる「技」です。「職人技」です。

スイートスポットに入ると「良い声が楽に出る」ので、ちっともがんばっている気がしないかもしれませんが、その感覚を得るためのトレーニングは毎日コツコツとがんばって積み重ねましょうね。

ピーンと入ったら、その感覚を「次の音」に引き継いでください。

一音一音いちいち入れ直すのではなく、いったん捉えたピーン感覚をそのまま引き継いでいく。

入れ直すのではなく、入れっぱなし。

「継続」の大切さが分かる人なら、分かるでしょう。

引き継ぎを正しくしないと職場が混乱すると分かる人なら、分かるでしょう。

秘伝のたれが好きな人なら、分かるでしょう。

万が一スイートスポットから外れてしまったら、入れ直します。

しかし、「入れ直す」のが前提ではなく、「入れっぱなし」が前提です。

しばらく意識してトレーニングしてみてください。

* * *

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2017年03月22日

【声のサロン】次回のレッスンまで間があるので

●「声のサロン」受講者の方へ

新潟ガラコンサート前の大事な時期だというのに、次回のレッスンまで間があいてしまったので、ここでレッスンの続きをしましょう。

発声技術を高めるためのレッスンです。

次の3つの話をします。

1. ガラコンサートは節目ではない
2. 力ではなく技で共鳴のスイートスポットに入れる
3. リラックスしてのびのびと声を出す

では、まずは「ガラコンサートは節目ではない」の話から。



1. ガラコンサートは節目ではない

ガラコンサートが近づくにつれて、緊張が高まってくるかもれしません。

・失敗したら恥ずかしい
・恥をかきたくない
・今までの練習の成果が問われる

こういった思いがあると、どうしても緊張しますね。

しかし、ガラコンサートはゴールではないし、なんの節目でもありません。

いつものレッスンの中で、「ではちょっと声を出してみましょうか」と言われて歌う程度のこと。

場所が違うだけで、いつものレッスンだと思ってください。

ずっと繋がっている時間のうちの、ただの一点です。

「今年のガラコンサートは○○を歌いますが、来年は○○に挑戦します」と早くも来年の曲目を宣言していた方がいます。

すばらしい。当たり前のように次回を見据えている姿勢がすばらしい。

ガラコンサートをどういうものと捉えているかの姿勢によって、緊張感にも出来具合にも影響があります。

だから、「姿勢」まで含めてレッスンなのです。

良い声で話し、歌うには、体の状態を整える必要があります。

体を整えるには、「姿勢」を整える必要がある。

ガラコンサートを「大きな節目だから失敗できない」なんて考えているところがあるとしたら、「いつものレッスン。場所が違うだけ」と捉え直してください。

さて、来年は何を歌いますか?



2. 力ではなく技で共鳴のスイートスポットに入れる

共鳴発声法のトレーニングをしていますね。

ピーンの感覚を得るためにパワーで押し切るのではなく、「技で入れる」ように、スイートスポットに入れてください。

「スイートスポット」とは、テニスのラケットでボールを打つ際に最小限の力で最大の威力を発揮できる打点のこと。

スイートスポットに正確に当てれば、ラケットのグリップを指でそっと挟んでいるだけで、つまりラケットがフラフラするような状態でも、ボールがポーンと返っていくのだそうです。

発声にもスイートスポットがあります。最小限のエネルギーで、最大の効果を発揮する形(発声器官の構え)です。

「ここ」というスイートスポットを覚えて、毎回確実にそこに入れられたら、何回繰り返しても必ず良い声が出ます。



3. リラックスしてのびのびと声を出す

スイートスポットと関連のある話です。

力んで強引に声を出そうとすると、良い形になっていなくても、それなりに声が出てしまいます。

ラケットのスイートスポットから外れた場所に当たっても、思いっきり振り抜けばボールが飛んでいくのと同じですね。

だからこそ、力で強引に持っていく癖がつかないように気をつけましょう。

力みは全身に影響を及ぼします。

肩や首や背中がこわばり、喉が詰まって、良い声が出なくなります。

良い声を出すには、脱力が肝心なのです。

リラックスして、のびのびと声を出しましょう。

息も、節約しようとせず、気持ちよく「出す」。

息なんか出せば入ってきますから、心配は要りません。

楽に、のびのびと、出しましょう。

* * *

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