2017年10月28日

【ことば学講座】一点集中の大切さ

●スマホが集中を妨げるケース

ある講師が嘆いていました。「講演会を聴きに来ている人たちが、昔ほど集中して聞いていない。何かあるとスマホを取り出していじるから、こちらの気が散る」と。

話を聞いていて、わからない言葉や不明な点、思い出したことがあると、話の最中でもスマホで検索して調べる人が増えているのだといいます。

調べもの自体は悪いことではありませんが、スマホやPCをいじって検索をしている間は、講師の話から意識がそれるんですよね。

「勉強に集中しているからこそ、気になったらすぐに調べたい」との主張もわかりますが、やはり「場における体験」は薄まってしまいます。

目の前のことに集中するのが一番です。

「耳は話を聞いている」と本人は思っていても、必ず聞き逃しがあります。そのせいで質疑応答の時間に(集中して聞いていればわかったはずの)質問をしたりして、まわりの受講者たちの時間を使ってしまうのももったいないし、失礼かもしれません。

講習会やセミナー中は電子機器の使用を禁止しているケースもあるそうです。以前は禁止などしなくても「その場に集中」するのが当然のマナーだったのが、時代が変わってきたということなのでしょうか。



●一点集中が一番お得

私たちの脳は、「一点集中」したときに最大の能力を発揮することがわかっています。

マルチタスクよりシングルタスク。一点への集中を一定時間持続できれば、たいていのことはできるという。

経験からもよくわかります。

いろんなことに興味があってあれこれ手を出す人より、狭い範囲で夢中になって取り組む人のほうが、高い能力を発揮して、優れた結果を出しているようです。

「目の前のこと」に意識を集中する力は、特に大事です。

幸い私の講座では、スマホやPCで検索を始める人はいませんが、見かけたら「今この場に意識を集中するのがお得ですよ」とお勧めするでしょう。

「一点集中」を気にしながら生活していますか?

気にしていないと、だんだんと「あれもこれも」と散漫になる気がします。

年齢を重ねるにつれて、「コレにエネルギーを注ぐ」「コレに時間を費やす」対象が少しずつ絞られてくるのは、使える時間やエネルギーが限られていればこそ、すごく良い状態です。

「私はもう年寄りだから、やりたいことをいろいろやりたい」という、まるで正反対のコメントも聞いたことがありますが、数年後に同じ方が「いろいろ手を出したりあれこれ気にしたりするのは、結局なんにもならない。残りの人生の無駄遣いとわかった」と悔やんでいました。

はたから見ていて「いろんなことをして充実している」ように見えても、ご本人の満足度は高くなかったようです。

確かに、一つのことに絞りに絞り込んで、持てるエネルギーを集中したほうが、クオリティが高まって満足度も向上します。

一点集中は、すべてに通じる原理原則ですね。

あなたのトレーニングへの集中度を、さらに高めてみましょう。

成果が上がりますよ。

* * *

新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
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2017年10月05日

【ことば学講座】弱ったときこそ言葉の力が問われる

●壁に当たったときに実践できるようにトレーニング

ことば学講座の受講者から、こんなメールをいただきました。


> ことば学講座で聞いたことを本当の意味で理解するには、
> 壁に当たった時に学んだことをいかに実践できるか、ですね。
> 時間をかけて、身につけていきます。
>
> 発声と同じですね。
> 本当の意味で分かるのには時間がかかるし、実践でしか身につかない。


まったくそのとおりです。

調子のいいときは、誰でも適切な言葉の使い方、話し方ができます。

上機嫌のときは、気をつけなくても明るくカラッとした話し方になるから、あまり気にしなくてもいい。

講座で話を聞いているときは気持ちも盛り上がっているので、「なるほど、しっかりやるぞ!」「この言葉に気をつけよう」「間の取り方を明日からトレーニングするぞ」と前向きになりやすい。

しかし、問題は日常生活の中でネガティブ状況が生じた場面です。

失敗して落ち込んだり、仕事で壁にぶち当たったり、体調を崩したり、身内のことで不安になったり多忙になったり、不機嫌になったり叱られたりプレッシャーがかかったりしたときが、本番です。

そのときのために普段からトレーニングしている、といえます。

言葉のトレーニング、話し方のトレーニングは、単なる知識や技術ではなく、「思考パターンのトレーニング」だというのは、そういう理由です。

メールの終わりは、こう結ばれていました。


> 一生かけて学んでいきます。


すばらしい姿勢ですね。まさにそう、言葉のトレーニングは一生ものです。

じっくりと時間をかけて、質の高い技法をマスターしましょう。

* * *

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2017年07月07日

【ことば学講座】余裕があるから、楽しくなる

余裕のある人になれるレッスン、ことば学講座
   ↓
http://wsi-net.org/kotoba.htmlことば学講座



●余裕のある人は得をする

「余裕」はハンドルの“遊び”です。

ハンドルの遊びって、わかりますか? 車のハンドル(ステアリングホイール)をくるくる回すとタイヤの向きが変わりますが、小刻みにちょっと動かすだけではタイヤは動きません。

その幅が“遊び”です。

遊びがないと、運転が難しくなります。遊びを少なくしているレーシングカーは、ほんのわずかでもハンドル操作を誤れば、コースを外れて事故になります。

私たちがふだん運転しているような車は、必ずハンドルに遊びがあるからこそ、安定してまっすぐ走ることができる。

さしずめ「何かあっても動じない余裕」ですね。

カツカツでは、ちょっとした出来事ですぐに動揺する。

余裕があれば、いつも安定していられる。

余裕を手に入れるレッスンをしましょう。

今度の「ことば学講座」です。



●余裕が幸福度、満足度を決める

何かがあっても、すぐに動じたりせず、泰然と構えているのが、余裕。

その分「レスポンスが鈍い」ともいえるわけですが、だからこそネガティブな気分になりにくい。

ネガティブな気分は、つらいですね。

・イライラする
・自信がない
・寂しい
・なんとなく不安
・妬ましい

こんな気分は、周囲にも良い影響を与えないばかりか、なにより自分が一番つらい。

だから、「余裕」があるほうがいい。余裕があると得、余裕がないと損です。

「余裕」は大事な原理原則の中でも、「私たちの幸福度」に大きく影響する要素です。

今このテーマを「ことば学講座」で取り上げるのは、そういう理由です。

余裕があれば、毎日を快適に、楽に、気分よく過ごせます。だから周囲にも良い影響ばかり。

そんな人になれたら、いいですね。



●バラもユリも好き

英語に「latitude」という言葉があります。

北緯、南緯などの「緯度」を意味する言葉で、私は以前にこの商品名のパソコンを使っていたこともあります。

latitudeはもともと「幅」を意味するラテン語から来ていて、だから「余裕」の意味もあります。

余裕とはつまり、「幅」なんですね。自由度、許容範囲、ゆとりの「幅」。

「これじゃないとダメ」「これは許せない」が多いと、余裕がなくなります。

好みはあってもいいんですよ。「ネギが特に好き」なら、それもいい。

しかし、「下仁田ネギじゃないと許せない」になると、余裕がなくなってきます。

入り口の段階で、もっと広い範疇の段階で「選択」するのはいい。

「タバコは吸わない」「ギャンブルはやらない」みたいに選ぶのは、ストライクゾーンが狭くて余裕がないのとは違います。

大人としての美しい選択ですね。

世の中にはたくさんのことがあるのだから、何でもかんでもやる必要はない。

自ら積極的に、より良い時間の使い方を選んでいくのは、とっても大事なことです。

「これはしなくていい」と決めるのは、大人の潔さだなと思います。

でも、
「花は好きだけどバラに限る。ユリもランも嫌い」
「花束はうれしいけど、バラの花束じゃないなら要らない」
では、なんだかもったいない。

ありとあらゆる花を好む必要もないけれど、ある程度の幅があるほうが、余裕が感じられます。

私はバラもユリも好きです。

紅茶はダージリンもアッサムもキームンも好きです。



●共鳴発声法が「余裕」を生み出す理由

あなたが今マスターしようとしている共鳴発声法も、「余裕」と関係があります。

共鳴発声法は、パワーではなく共鳴のテクニックで声量アップし、届きやすい声質にして話す技術です。

パワーで押しきる方法ではないから、技術力の高さ次第で「がんばらずに、楽に、届く」声が出せる。

だから、騒がしい場所でも余裕でしゃべれるし、職場の朝礼当番も無理にがんばらなくていい。

まさに「余裕」ですね。

まして静かな喫茶店なら、ごくわずかなエネルギーで会話ができる。

会話が楽しめるのは、余裕があるからです。必死に声を張り上げないと会話にならないとしたら、そんな会話は楽しくない。

水泳もスキーも、楽しいと感じるのは、夢中の中にも余裕ができてから。

余裕があると、毎日が充実して楽しくなりますよ。



余裕のある人になれるレッスン、ことば学講座
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2017年02月12日

チューニング(言葉の調律)の精度を上げる

●もう申し込めます

東京会場の「ことば学講座」を終えて新潟に向かう新幹線の中で書いています。

寒い週末ですね〜。インフルエンザもまだまだ流行っているようです。

気をつけて過ごしましょう。

来月の日程は、新潟会場が3月9日、東京会場が11日です。

もう申し込めるようにしてありますから、こちらからどうぞ。
   ↓
http://wsi-net.org/kotoba.htmlことば学講座



●「馴染む」の良さ

ことば学講座の直後、こんなメールが届きました。


> 以前お話ししたことがあるかと思いますが、
> 先生の講座に出させていただくと、必ず、
> その時悩んでいることへの答えが、ピンポイントで返ってきます。
> 不思議です。今日もそうでした。怖いくらいです?!
>
> 最近いつも以上に、深い辛さを抱えて、元気をなくしておりました。
> それに対して、今日の講座のテーマそのものが、
> 私が一番ほしかった内容でした。その直球加減がまた感動で、
> 講座の終わりには涙が出そうでした。


著書を読んでいて似た体験をする、との報告メールもよくいただきます。

「今の自分にとって必要な言葉がポンっと飛び込んでくる」。

それも、

「もう何回も読んだはずなのにも、こんな言葉があったなんて」

という驚きとともに。

なぜこんな不思議な現象が起こるのか。

私があなたに合わせてピンポイントの答えを返しているのではなく、いつものように「原理原則」の話をしているだけなのですが、あなたが自らチューニングを合わせてキャッチしているのです。

長く講座に通う受講者ほど、このような体験をしやすくなります。

大事な「原理原則」に馴染んでくると、すでに「調律がほぼ合っている」状態だから、ポイントに響きやすいのです。

馴染むって、いいですね。



●「初めての新鮮さ」よりはるかに価値が高い

最近から本を読み始めたり初めて受講したりした方から、

「目からウロコでした」
「今まで自分にはなかった視点なので、新鮮でした」

といったコメントをいただくことがあります。

ある意味、「初めての新鮮さ」ですね。

それはそれで悪くないのですが、私としては、今後いずれ経験するであろう「馴染んだ感覚」のほうにより高い価値を置きたい。

「新鮮な驚き」そのものを喜ぶ姿勢は、新しいものを次から次へと味わおうとする姿勢になりやすく、高まりや深まりにつながりません。

「へ〜、へ〜、へ〜」と驚きを喜ぶのではなく、大事な原理原則が間違いなく自分の中に取り込まれていて、それをさらに強化していく感覚で受講してほしい。

「初めての新鮮さ」より「馴染んだ感覚」のほうがはるかに貴重。日々の積み重ねによってのみ味わえる、深みのある喜びです。



●さらに徹底していくために

馴染むと、すでに「調律がほぼ合っている」状態になります。

「だから響きやすい」とお話ししましたね。

ただし、問題は「調律がずっと正しいままとは限らない」ことです。

ピアノでもバイオリンでもそうですね。いつも弾き続けていれば、めちゃめちゃなチューニングにはならないけれど、少しずつズレた状態になってしまう。

これが「原理原則を知ってはいても、徹底できていない状態」です。

短期的に「徹底」するのは簡単でも、大事なのは持続です。たいてい「このくらいなら、別にいいか」からほころびが始まります。

いったん「こうする」と決めたのに、まだ新しい自分より古い自分のほうに馴染みがあるからつらくなり、「このくらいならいいよね」と言い訳しながら手綱を緩めてしまうわけです。

ホメオスタシスの引き離しに成功するまで徹底を続けないと、「いつの間にか、また以前の状態に引き戻されている」になりやすい。

特に「少しだけ引き戻されている」は自覚しにくく、成果を小さくしてしまうので、厄介です。

何事も同じですね。「現状維持でかまわない」と思うと、衰えが始まる。「さらに徹底的に」と自分に厳しくして、はじめて現状維持ができる。

正確で厳密なチューニングを何度も繰り返して、チューニングの精度を高めましょう。


「ことば学講座」はこちらのページからお申し込みください。
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2016年04月18日

【言葉のレッスン】名器を手に入れる言葉のレッスンとは

●言葉と声のトレーニングは「名器の入手」に等しい

ストラディバリウスといえば、言わずと知れたバイオリンの名器。

この名器を世界的なバイオリニストが手にすれば、ウットリさせる音色で私たちを魅了します。

しかし、どんなに優れたバイオリニストでも、バイオリンを手にしていなかったら、ただの人です。

実力があっても、その実力を発揮するための「道具」がなかったら、どうしようもありません。

「言葉」についても、同じことが言えます。

言葉はあなたの内面の表れです。

つまり、あなたの口から出てくる「しゃべり」は、内面そのものではなく、内面の「表現」(表れ出たもの)です。

バイオリンの例でいえば、バイオリニストの持つ演奏技術が「内面」。音楽を奏でるためのベースですね。

言葉と声は「実際に出る音や奏でる音楽」に喩えられます。

つまり、言葉と声の能力が高いということは、「優れた楽器を持っている」とも言えるわけです。

素敵ですね。言葉と声のトレーニングは、「名器の入手」なのですから。

世界的なバイオリニストでも、「弦が数本切れている」ような不完全なバイオリンは演奏できない。

言葉でいえば、「語彙が少ない」状態です。

プロのクラリネット奏者でも、管の詰まったクラリネットでは良い演奏はできません。

発声でいえば、「喉が詰まっている」状態です。

あなたがいくら素敵な「内面」を持っているとしても、その素敵な内面を実際に外に表し相手に伝えるための「表現」は言葉と声が担います。

質の高い言葉と声──まとめて「話し方」──はさしずめ名器です。

これから名器を入手して、磨きをかけていきましょう。

これから魅力アップ講座では、特に名器を手に入れるための言葉のトレーニングをパワーアップしていく予定です。

* * *

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2016年04月10日

【言葉のレッスン】感じのいい言葉を身につける方法

●「えっ、デザートもつくの!?」

昨日は東京会場の魅力アップ講座でした。いよいよ「言葉の修業」が始まりましたね。

このタイミングに乗り遅れないように、毎日のあらゆる瞬間を「言葉のトレーニング」にして、しっかりついてきてくださいね。

こういった機会は、たくさんあるようで、そんなにありません。

「チャンスの女神には前髪しかない」と言われますが、「停車してくれないから飛び乗らなければならない路面電車」のごとく、タイミングを逃したらもう乗れないんですよね。

「言葉の修業」に入るチャンスに、いま乗ってくださいね。今回の魅力アップ講座に出られなかった方は、次回はぜひ乗りましょう。


さっそくこんなメールが届きました。

「えっ、デザートもつくの!?」という台詞が、マイナスのニュアンスを帯びて発せられた場面に遭遇して、言い換えトレーニングをしてみたのだそうです。

レッスンを日常でしっかり実践していますね。

ちょっと長くなりますが、引用します。


> その方は「え!? デザートもつくの?」と驚き、店員さんに向かって
> 「先に言ってくれれば」「今言われても」などと話されていました。
> すでに紅茶を飲んでしまったので、デザートでの飲み物がないと
> 言いたかったようです。
>
> (中略)
>
> 良い感じに言い換えをするとしたら、「デザートも付くのですね!
> 知らなかった!もう紅茶を飲んでしまったのでお水をいただけますか?」
>
> でもここまで詳しく事情を説明すると店員さんに負担を掛けるので、
> サラリと「えー!?デザートも付くんですね!お水をいただけますか?」
>
> と言い換えたら良い感じになるかなと思いました。


すばらしい! 何がすばらしいかって、最後の「プラスのワンステップ」です。

これがあるかないかで、「フツーの人」と「感じのいい人」の差になります。

「先に言ってくれれば」「今言われても」は、まさに昨日の魅力アップ講座で出てきた「言ってくれれば分かったのに」、さらには根っこは「ほら言ったでしょ」と共通していますね。

「先に言ってくれれば」「今言われても」がイマイチの反応だとは、わりとすぐに気づきます。

しかし、事情や理由をあまり詳しく説明するのも、かえって相手を恐縮させたり、責任を感じさせたりするところまでは、なかなか気づかない。

「そこに気づいてほしかった」という自分本位な気持ちが意図せずに漏れ伝わってしまう。

「ここまで詳しく事情を説明すると店員さんに負担を掛ける」と思い至るかどうかが、「自分本位か相手本位か」にかかっています。

詳しい事情説明はたいてい、相手に「理解させる」ため、つまり「自分のため」なんですよね。

相手は理解したがっているとはかぎらない。

すべては「分かってほしい」という気持ちから生じる「感じの悪さ」です。

「分かってほしい」部分をあえて取り除くことができると、ワンランク上の「感じのいい表現」になります。

比較してみてください。分かりやすいように、表現をちょっといじりますよ。


並……「えっ、デザートも付くの!? そんなの今さら言われても」
上……「えっ、デザートも付くんですね。そうとは知らず飲み物を全部飲んでしまったので、水をいただけますか」
特上…「えっ、デザートまで付くんですか!? うおっ、ラッキー! じゃあ飲み物を追加で頼んじゃおうかな」


「えっ、デザートも」の部分の言い方がまったく違うものになること、しかも、ふだんからの思考パターンや姿勢がとっさにに出ることに気づいたでしょうか。

後に続く部分の影響で「えっ、デザートも」の言い方が変わるのではなく、もともとの考え方によって変わるのです。

ここまで繊細なのだから、言葉の修業は奥が深く、難しいんですね。

「“分かってほしい”の何が悪い。みんなそうじゃないの?」と開き直ったら、ワンランク上の感じのいい言葉にはなりません。

「お金に余裕があれば飲み物を追加で頼めますけどね」と皮肉な卑下をしたら、数年後に「結局は元のまま、何も変わっていない自分」に愕然とします。

「少し無理して、少し背伸びする」ことで、言葉が上達していくのです。

大事なのは飲み物を追加するためのお金ではなく、姿勢です。「お水をいただけますか?」でもぜんぜん構わないわけですから。



●どこまで奥が深いんだ、言葉って……

しかも、この方が答えとして出した、

> サラリと「えー!?デザートも付くんですね!お水をいただけますか?」

この「サラリ」加減がとってもイイ。

サラリと「お水をいただけますか?」と言っていますね。
(まだ実際に言ったわけではありませんが)

これをもし、「じゃあお水をいただけますか?」と言ったとしたら、どんなニュアンスになりますか?

「じゃあ」(では、それなら等)が有るか無いかで大違い。

デザートの件とは無関係に「水をください」と言っていいのだから、わざわざ「じゃあ」をつけることによって、「デザートが来るのに飲み物がない」という“困った”状況に対処しようとしている気持ちが出ます。

つまり、「対処しなければならない状況だ」と店員さんに伝える台詞になる。

だから、サラリのほうが「より上」なのです。

「えー!?デザートも付くんですね!お水をいただけますか?」だと、「お水をいただけますか」が唐突な感じがしますか?

でも、そこは「こなれたコミュニケーション」の技で「あ、すみませんが、お水をいただけますか」くらいにアレンジすればいい。大した問題ではありません。

こういう言葉のトレーニングは、学校ではもちろんしてこないし、大人になっても機会がないし、扱っている場所がそもそもありません。

これからあなたは、こういうレベルの言葉トレーニングに入っていくのです。

* * *

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2016年04月08日

【言葉のレッスン】あなたの言葉を「感じよく」するレッスン

●「感じのよさ」は価値

今月の魅力アップ講座は、「あなたの言葉を感じよくする方法」と題して、言葉のレッスンをします。

それも、会場でただ話を聞くだけでなく、自ら「言葉の作業」をするトレーニングの時間です。

「感じがいい」って、多くの人が思っているより、ずっと大事なんですよね。

「感じのよさ」とは、「価値をカバーするごまかし」「その場しのぎの姑息な手」ではありません。

感じのよさはひとつの価値です。

「感じがよくない」ことが原因でうまくいっていない場面がたくさんある理由は、「感じのよさはひとつの価値」と考えると、よく理解できますね。

あなたの話し方に、価値を加えましょう。



●言葉を置き換えていこう

実はすでに昨日、新潟会場のレッスンは終わっているので、受講者から「その後のトレーニングの様子」が届きだしました。

「言葉を感じよくする」には、今まで無造作に、疑うことなく使っていた言葉を、別の言葉に置き換えることになります。

「こんなふうにやっていいのか」「この方向の置き換えでは感じがよくならない」と感覚がつかめると、言葉の置き換えがどんどんできるようになります。

「ちょっと練習するだけで、こんなにうまくなるんだ」と驚くかもしれませんよ。



●感じのよさは内面から

「言葉を置き換えるだけでなく、本心からそう思う自分にならないと、本当のトレーニングではありませんよね」と話してくれた方がいます。

まさに、それがトレーニングです。

適切な言い方を思いついたとしても、本気でそう思っているわけではないとしたら、単に「口がうまい」「うわべだけの人」だけになってしまいます。

とはいえ、「聖人君子じゃないから、そんなキレイ事は言えない」と言いながら悪口や毒舌を吐くのは、違います。

断じて違います。

少し無理して、少し背伸びして、「今の自分にはちょっと気恥ずかしい」ような言葉でも使ってみることで、内面も変わっていきます。

言葉と内面は、本来ひとつですから。

さあ、言葉のレッスンを続けますよ。

* * *

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2016年03月10日

【話し方レッスン】レベルの高い話し方トレーニングをしよう

●えっ、そんな意味で言ったんじゃない……

今日は新潟会場の魅力アップ講座(意識と言葉の心理学講座)でした。

これからあなたにしていただくのは、本当にレベルの高い話し方トレーニングです。

話し方のトレーニングには、外的トレーニングと内的トレーニングがあります。

外的トレーニングは、語彙を増やしたり、適切な語の使い分けを覚えたり、必要に応じてアクセントの修正をしたり、正しい敬語の使い方を身につけたりと、外から見える部分のトレーニングです。

声の出し方や表情やジェスチャーなども、すべて外的トレーニングです。

それに対して、内的トレーニングは、外に出ない内側のトレーニング。

A. 「遅くまでがんばってるね」と上司に声をかけられた
B. 「仕事が遅い」と責められているように感じた
C. 「これでも全力でやってます!!」と言い返した
D. 「えっ……」と困惑された

この流れでいうと、Bの部分のトレーニングです。

相手の発言をどう解釈するか──その傾向によって、良い話し方にもなれば、トラブルの多い話し方にもなります。

しかも、「考え方の傾向」なので、似た場面ではいつも似た反応を起こしやすい。

良い話し方ができるためには、Bのような反応パターンを書き換えていく必要があります。

そんなハイレベルな話し方トレーニングに入っていきますからね。

* * *

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2015年11月11日

言葉が人生を決めるって本当?──魅力アップ講座

●言葉が人生を決める

言語戦略研究所の齋藤匡章です。

今週は新潟と東京で「魅力アップ講座」があります。
新潟会場は11月12日、東京会場は14日です。

これまで「言葉」を中心に据えたレッスンをしてきましたが、
「言葉の重要性」を真に理解できている人はまだまだ少ない、
というのが実感です。

言葉がなぜそんなに大事なのか。

ちょっと大仰に聞こえるかもしれませんが、
「言葉が人生を決める」からです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」式に間をはしょった言い方なので、
「言葉はしょせん言葉でしょ」なんて思うかもしれません。

たしかに、「言葉では嘘がつける」とか
「大事なのは言葉ではなく本心」といった言い方もあって、
それぞれに大事なことを言っていますが、
今あなた──魅力アップ講座の受講者──に知ってほしいのは、
もう少し深い言葉の性質についてです。



●言葉は嘘をついていない

意外かもしれない「言葉の真実」を言います。

言葉は嘘をつきません。

「えっ、それこそ嘘」と思いますか?

「言葉では嘘がつける」のは事実でも、
一瞬の限定的な場面についてだけの話です。

もっと全局面的に、長いスパンでその人を見たら、
言葉はその人を正直に語っています。

あなたが発する言葉をすべて集めたら、
あなたという人物がきわめて正確に浮かび上がります。

話し言葉も書き言葉も独り言もすべてかき集めたら、
「でも言葉は嘘がつけるから、本心じゃない言葉もあるかも」
と慎重にならなくても、
全体としてはちゃんとあなたを描写しているはずです。

外言語(外に出た言葉)と内言語(内面で思考している状態の言葉)を
すべて合わせたら、もはや言葉は「あなたそのもの」です。

そう考えると、「言葉は嘘がつける」など
単なる些細な一面に過ぎないと思えてきませんか?

問題は、なぜそこまで言葉は「人そのもの」を表すのか、です。



●考えが言葉になる

それは、「考え」が「言葉」になるからです。

「考え」でも「思考」でも「意識」でもいい。

内面が形を得たものが、言葉です。

言葉はコミュニケーションの道具です。

漠然として形にならない、目に見えない、とらえどころのない「考え」を、
他人に渡せるようにパッケージにしたものが「言葉」です。

「渡せる」といえば便利に聞こえますが、
「伝わってしまう」といったら油断できなくなるでしょう。

本来、「考え」と「言葉」はリンクしているので、
嘘をつくには意識的にそのリンクを断ち切ったり
ズラしたりしなければなりません。

ナチュラルにふるまえばあなたの内面は
かなり正確に言葉として表れています。

人は本能的に、乱暴な人を嫌います。
生命の危険があるからです。

だから、乱暴な言葉を乱暴な声で話す人より、
気持ちいい言葉で丁寧に話す人のほうが、ずっと好かれます。

人は本能的に、明るくてイキイキした人を好みます。
生命力を感じるからです。

だから、愚痴をこぼしたり誰かの悪口を言ったり、
すぐ突っかかってきたりする人より、
明るく前向きな言葉を発する穏やかな人を好みます。

言葉には、その人の考え(内面)が表れています。

「言葉が人生を決める」のは、むしろ当然と思えてきたでしょうか。




※魅力アップ講座とは

「心と体の使い方」を学ぶ魅力アップ講座をご存じない方のために
こちらに説明ページを作りました。
   ↓
http://mf07.com/miryoku-up.html

魅力アップ講座のお申込みはこちらから
   ↓
http://mf07.com/seminar.html

* * *

言語戦略研究所「声のサロン」 齋藤匡章
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2015年11月02日

魅力アップ講座で学ぼう(東京と新潟で言葉と意識のトレーニングジム)

今日は「魅力アップ講座」の話をしましょう。

今さらですが、このブログで魅力アップ講座について取り上げるのは
初めてのようだと気づきました。

魅力アップ講座は、東京と新潟で毎月1回開催している、
「言葉と意識の勉強会」です。

勉強会といっても、ただ座って話を聞くだけでなく、
自ら積極的に自分を鍛えていく「トレーニングジム」です。

「言葉と意識」とは、異なる2つのテーマではありません。
意識から言葉が生まれ、その言葉がまた意識に影響します。
つまり、言葉と意識は一つです。

「良い声で話せる人になりたい」
「良い話し方ができるようになりたい」
「会話上手になりたい」

といったご相談を多くいただきますが、
発声法の技術的なトレーニングだけで良い声が出るわけではありません。

国語辞典を熱心に引いて語彙を増やせば、
感じの良い話し方ができるようになるかというと、
そうはいきません。

共鳴発声法のメカニズムを知れば、会話が気持ちよくなるわけでもない。

「慇懃無礼」という言葉があります。
「丁寧すぎて、かえって無礼な感じ」
「表面的には非常に丁寧なのに、実はすごく尊大」
といった意味の言葉です。

「本当に丁寧で上品な方」と褒められる人と、
「丁寧なんだけど、なんか慇懃無礼というか、嫌な感じがするんだよね」
と丁寧さが裏目に出てしまう人とは、何が違うのでしょうか。

答えは──意識内容です。

相手を尊重する、気持ちいい思いを持ちつつ丁寧に話せば、
その丁寧さが心地よく伝わり、「上品な方」と喜ばれます。

相手を敬ってなどいないのに、「立場上尊重しておこう」と考えて、
敬語やふるまいや表情を整えた場合、「慇懃無礼」になる。

かといって、「親しみを表したいから」「距離を縮めたいから」と
自分側の都合で敬語や態度を乱暴にしたら、
最初のうちは笑って流してくれていた相手も、
どこかで閾値を超えて「お付き合いをお断り」されてしまう。

表面に出る言葉の丁寧さは、もちろん大事です。
ただし、もっと大事なのは、その言葉の源泉となる、意識。

意識と言葉が合っていないと、たとえば「慇懃無礼」になって、
人間関係がだんだんとうまくいかなくなります。

言葉や話し方はもちろん丁寧にしていく。
そして同時に、言葉を支える「考え方」を丁寧に育てていく。

「自分がどう思われるか」「評価が高まるか」「褒めてもらえるか」
を気にする「自分本位」と、
「相手がどう思っているか」「相手が気分よく過ごせるか」
を意識する「相手本位」の違いを知るのも、
意識のトレーニングのひとつです。

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言語戦略研究所「声のサロン」 齋藤匡章
ウェブ:http://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com

posted by テノール齋藤 at 13:09| Comment(0) | ことば学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする