2017年07月04日

がんばりすぎないほうがうまくいく理由

●楽に吸うほうが吸える

前回の「息の吸い方」トレーニング、してみましたか?

腹部の筋肉がやわらかくゆるんでいないと吸いづらいことが体感できたでしょうか。

がんばっても、思ったほど吸えない。

というより、がんばりと成果の関係はどこかで逆転します。

何も吸う気がないよりは、「吸うぞ!」と気合を入れて横隔膜をぐいっと引き下げるほうが吸えるのは当たり前。

ところが、「吸うぞ、吸うぞ、吸うぞ」と気合をガンガン強めたらどんどん吸えるかというと、そうではありません。

お腹まわりの筋肉に力みを生じて、吸う動きを妨げてしまいます。

楽に吸うと、気持ちいいですよね。

リラックスして紅茶でも飲みながら、スーッと楽に吸うと、とっても気持ちいい。

「わずかな一瞬でたくさん吸わなければならない」と切羽詰まった状況でガバッと吸っても、入る息の量はあまり多くならないし、ちっとも気持ちよくない。

リラックスしたままいかに吸うか、がポイントです。



●武術でも脱力が肝心

合気道を習い始めた小学生の頃、「脱力が大事」と教わりました。

「脱力しないとパワーが出ない」という説明では、小学生にはうまく理解できていない様子が伝わったのか、拮抗筋の解説をしてくれました。

力めば力むほどすごいパワーが出そうな気がするけれど、むしろ逆。物を持ち上げようとしてがんばって力むと、持ち上げるための筋肉だけでなく、正反対の働きをする拮抗筋を、つまり下げるための筋肉まで収縮させてしまう。

これではアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、がんばりのわりにパワーが出ない。

「がんばろう」「もっと力を入れよう」とするのではなく、持ち上げるための筋肉だけを正確に収縮させるのが、最も大きなパワーが発揮できる状態。

そのためには、正反対に働く拮抗筋を完全にリラックスさせる必要がある。

リラックスさせれば、楽になる。

だから、最大のパワーを発揮している状態は、楽。

この「がんばりすぎないほうがうまくいく」メカニズムが理屈ではなく感覚でわかると、楽に大きな力を発揮できるようになります。



●数字で考えてみると

数字でも説明してみましょうか。

持ち上げる筋肉を50のエネルギーで引っ張りながら、下げるための筋肉も同じ50のエネルギーで引っ張るなら、合計100のエネルギーを使っているのに、逆方向に等しい力が働いているから、物体が動こうとする力はゼロ。

100のエネルギーなんか使ったらクタクタになるのに、物体はびくりとも動かない。

持ち上げる筋肉だけを10のエネルギーで引っ張れば、費やしているエネルギーはわずか10分の1なのに、物体が動く。

力めば力むほど、無駄なエネルギーを使ってしまう。

必要最小限のエネルギーで力を発揮するには、がんばりすぎないことが大事です。

「拮抗筋を使わない」は脱力トレーニングをしないと難しいのですが、「がんばりすぎないでリラックス」なら、すぐにでも役に立つアドバイスとなるでしょう。



●7〜8割で十分

発声もコミュニケーションも同じです。

最初から最後まで全力疾走のような発声は、歌もしゃべりも、よくない。

7〜8割のがんばりがちょうどいい。

時速200kmのスピードが出る車も、限界の200kmで走っている状態はつらい。おそらく7〜8割の140〜160kmあたりに最大の能力を発揮するゾーンがあるはず。

スピーチの準備を当日までしっかりやったなら、本番でピリピリ緊張してもしょうがない。「もうやることはやった」と開き直って、7〜8割でしゃべる。

そのほうが、気持ちにも余裕ができて聞き手の様子も見えるようになり、「入れどころ」に集中できて、10割のフルパワーよりかえって良いスピーチになります。

一から十までがんばりすぎてしまうと、「集中のメリハリ」が利かなくなってしまうんですよね。エネルギーを注ぎたい大事なところで、くたくたに疲れていたり体を傷めたりしたら、かえってもったいない。

歌を歌うと、「集中の入れどころ」が大事だと実感できるでしょう。常にフルパワーでは、キメどころで決まらなくなったり、声帯を傷めてしまったりする。

「つい全力疾走してしまう」という真面目なタイプは、意識して7〜8割で走るようにしてみてください。



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posted by テノール齋藤 at 00:18| Comment(0) | 声のサロン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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