●呼吸に関わる2つの筋肉とは
前回のレッスンから次回まで少々間があくので、ここでワンポイントレッスンをします。
次回までしっかり練習をしておいてください。
「横隔膜を下げる息の吸い方」です。
しゃべり始める瞬間、息を吸いますね。
このとき、呼吸に関わる主な2つの筋肉のうち、一方は緊張を強め、他方は緊張をやわらげます。
呼吸に関わる主な2つの筋肉とは、肋間筋と横隔膜です。
肋間筋は肋骨を動かす筋肉なので、肋骨を起こして胸郭を広げる働きがあります。
横隔膜は肺を下方へ引き下げて息を吸い込む働きです。
いずれも呼吸に必要な筋肉であって、どちらか一方のみを使うのではありません。肋間筋を動かして胸郭を広げるのが胸式呼吸、横隔膜を下げて肺を下方へ引っ張るのが腹式呼吸、などと名前をつけて呼ばれることもありますが、全体を効果的に使う呼吸が「発声に役立つ良い呼吸」です。
といっても、多くの人は「息を吸って」と言われると胸を動かそうとするので、「全体を使いましょう」という意味で「腹式呼吸をしましょう」と言われやすいのでしょうね。
けっして「胸は使わない。腹部のみを動かすのがいい」という意味ではありませんから、まずはこの点を正しく理解しておきましょう。
●横隔膜を使うとリラックスする
さて、先ほど「呼吸に関わる主な2つの筋肉のうち、一方は緊張を強め、他方は緊張をやわらげる」と言いました。
肋間筋を使う胸の呼吸は交感神経を刺激して活動性を高め、横隔膜を使う深い呼吸は副交感神経優位のリラックス状態にします。
胸でハアハア激しく呼吸すると緊張が強まり、ゆったり深く呼吸をするとやわらいでくるのは、そのせいです。
「吸う」と「吐く」で区別するなら、「吸う」は交感神経、「吐く」は副交感神経を優位にします。
朝起きると、自然に息を吸いたくなるのは、活動を始めようとしている体の自然な反応なのでしょうね。緊張をやわらげたいときは、「吐く息を長く」する呼吸が効果的です。
人前に立って話すときは、ただでさえ緊張しやすい。
そんなとき、緊張と相性のいい胸の呼吸でハアハアすると、余計に緊張します。
「深呼吸で気持ちを落ち着けよう」とするのは正しい方針としても、胸ばかり大きく膨らませる呼吸でハァ〜、ハァ〜とやったら、かえって緊張が強まってしまう。
意識的に横隔膜を下げて、本当の深い呼吸をしましょう。
●言い出しのブレスをお腹で
今回トレーニングしたいのは、しゃべり始める瞬間に息を吸うときの動作です。
このとき、お腹を使った横隔膜の呼吸でスッと吸えると、楽に、リラックスして、たくさんの空気を吸うことができます。
上半身の上のほうを動かして「ハッ!」と吸うのではなく、腹部が前にも横にも後ろにやわらかく膨らむ吸い方でスッと吸いましょう。
腹部の筋肉はやわらかくゆるんでいる必要があります。
筋肉がガチガチに固いのは、コルセットや帯をきつく締めているようなもので、息が吸えません。
背中も腰もゆるめて、楽にスッと吸いましょう。
「息が吸いにくい」と感じるときは、先に息を全部吐いておいて、自然にスーッと入ってくる感覚を味わってから、腹部の動きを再現してみるといいですよ。
「しゃべり始めに、お腹をゆるめてスッと鼻で吸う」練習をしておいてください。
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2017年06月29日
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