2017年03月03日

敬語は楽器のように身につける

●「敬語に自信がありません」

昨日、こんなご相談がありました。

「状況に応じて適切な敬語を即座に返すのが難しくて、変な言い方をしてしまうことがあります。後からゆっくり考えれば、正しい敬語が分かるのですが……」

後からゆっくり考えれば適切な敬語が分かるとしたら、基本的な知識はすでに持っているわけですね。

なのに、うまく話せない。妙な敬語を口走ってしまう。

相手に何かを見せようとする場面で、「ご覧になってください」ではなく「ど、どうぞ、は、拝見してください」なんて言ってしまって、後から思い出して赤面、なんてケースですね。

適切な場面で適切な敬語が使えないのは、多くの場合、知識の問題ではありません。

「ご覧になる」と「拝見する」のどちらが相手用、どちらが自分用かを正しく答えられるなら、問題は知識ではなく技術のほう。

「知っている」が知識、「できる」が技術です。

楽器に置き換えると、分かるでしょう。

楽譜が読めるなら、「この音符は?」と聞かれて高さや長さを答えることはできる。

「このドは四分音符で、次のミソドが八分音符で……」とすべての音符について答えていくことだって難しくない。

「知識」はあるからです。

だからといって、バイオリンを構えてその旋律が弾けるかというと、そうはいかない。

「技術」がないからです。

技術を身につけるには、座学による勉強ではなく、「トレーニング」が必要です。毎日の練習ですね。

敬語も同じ。

実際の場面で敬語を使うトレーニング、すなわち「実地訓練」が必要。

頭で考えながら答えを出すのではなく、「体から自然に出る」「息をするように敬語を使う」状態になるまで、何度も何度も、失敗しながら繰り返しトレーニングする。

もうマスターできたと思っても、心理状態が変われば勝手が変わります。

緊張を強いられる場面になると、「正しい敬語で話さなければダメだ。それも、普段よりもっと丁寧度の高い敬語で」なんて力むので、余計に妙な敬語が出やすいでしょう?

「すぐ上の上司」くらいなら適度な敬語がサラッと出てくるのに、「社長の恩師が訪ねてきた」みたいな状況になると、自分の知っている最も丁寧度の高い敬語を無理にひねり出そうとして、しくじるんですよね。

それが良いのです。身につくまでのプロセスで、失敗は必須の要素です。失敗を避けようとしないほうがいい。失敗すればするほど、早く身につきます。



●コツは「常に丁寧に話す」

敬語については、「常に丁寧に話す」よう心がけるのが、早くマスターするコツです。

1. 敬語を積極的にどんどん使う
2. 間違えたら、後で正しい敬語を反復練習してリハーサル

間違えるのを怖がって敬語を避けるようになると、いつまでも自信が持てません。

「いらっしゃる」「お越しになる」「来られる」……どれが適切なんだろう……ええい面倒だ、と判断を放棄して、「来ますか?」とやってしまっても、その場はやり過ごせるかもしれません。

中には、「この人との関係で丁寧度の高い敬語を使うのはシャクだ」などと感じて、わざと丁寧度を下げようとする人もいるそうです。

「○○さんもいらっしゃいますか?」という言葉が意識に浮かんでいるにもかかわらず、あえて「来るんですか?」とぶっきらぼうに言い換えたり。

実にもったいない。

敬語は相手のためだけでなく、あなた自身のふるまいを美しくする、つまり「発話品質を高める」ために使うのだから、過剰になって構わないから積極的に敬語を使いましょう。

何事も、身につけるには「過剰」が有効ですね。

今までだったら「あ、見ました?」とラフに返していた場面で、「あ、ご覧になりましたか?」と丁寧に返す。

敬語は音の数が増えるので、もたつく感じがありますね。それがいい。

「食べます?」と聞いていたのを、これからは「召し上がりますか?」と聞く。

「常に丁寧に話す」ように心がけることで、日常がトレーニングになります。

間違えたら、後から何回も練習して、次回に備えてリハーサルをすればいい。

楽器の練習のように、何度も何度も繰り返しましょう。

* * *

新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
ウェブ:http://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
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ラベル:敬語の使い方
posted by テノール齋藤 at 19:30| Comment(0) | 声のサロン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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