ちょっと前にこのブログで、
> トレーニングをしている方のためにメイフェアを作ったのは、
> トレーニング効果を高めるためのティータイムが目的です。
> 講座をおこなう会場なんか、どこでもいいのですから。
という話を書いたところ、こんなメールをいただきました。
> これを読んで、先生のお仕事は多岐にわたっているけれど
> ちゃんとトレーニング効果を高めるためというくくりですべて繋がっていると
> あらためて感じました。
>
> 紅茶店のオーナーが歌や言葉の講座、それに関わる仕事をしたり
> 言語心理学をもとにしたレッスンをしていると
> 一般の人からみたら統一性がないと感じるかもしれないけれど、
> 受講者から見たら、どれも繋がっていて必要なことなんだとわかります。
>
> 初心者の頃はわからなかったけど、今ならちゃんとその繋がりを感じられて
> それが「成長した証」でもあるんだなと感じて、うれしくなりました。
いいですねえ。上級者ですね。
確かに、私にとっては「言葉」を深掘りした状態に過ぎず、すべてが「言葉」を中心としてつながっているのですが、「いろいろ手広くなさっているんですね」「多才ですよね」と言われることがあります。
私としては、いろいろ手広くなどしていなくて、「言語行為が意識に与える影響」という心理言語学のテーマから離れたことはありません。
スポーツ選手が筋トレをしたり走り込みをやったり食事に気をつけたり解剖学的な勉強をしたりメンタルトレーニングをしたりしても、あくまでも「スポーツ選手としての活動をしている」と捉えられ、「多才だ」「いろいろ手広くやっている」とは言われないのに、不思議ですね。
もちろん、私だけではありません。あなたもそうです。
スポーツ選手は、仕事として筋トレが必要だから、筋トレをします。
あなたは、仕事に言葉の能力が必要だから、言葉のトレーニングをしているわけです。
なのに、スポーツ選手が筋トレをしている姿は「おっ、さすがはサッカーに生きていますね」なんて自然な行為に映るのに、あなたが言葉のトレーニングをする姿は「何か新しいことを始めた」ように周囲に映るかもしれません。
言葉や論理は、見える人にははっきり見えるのに、見えない人にはまったく見えないので、つながりが見えないとしてもしょうがない。
すべてがつながって感じられたら上級者、ということでしょうね。
●もう少しラフな三段論法を作ってみよう
さて、今日は少しだけ論理の話をしましょう。
三段論法トレーニングの続きです。
大前提と小前提に「共通の要素」を盛り込んで、結論を導き出してみてください。
一般的に認められそうな文(命題)を大前提として作り、その中の要素を含む小前提を作り、この2つの前提から導ける(共通の要素を持たない)結論を書き出すトレーニングです。
演繹的に一つの結論に至る推論にならなくても結構です。
大前提:夏風邪はつらい。
小前提:彼は夏風邪をひいている。
結論:彼はつらい思いをしている。
大前提と小前提には「夏風邪」という共通の要素があり、結論にはありませんね。
これはシンプルで面白みに欠けるので、もう少し思いきった冒険をしてみてもいいでしょう。
ガチガチの論理展開より、ラフなほうが、日常の会話に近くなります。
大前提:大人になって強めの筋トレをすると、2日後になって筋肉痛になることが多い。
小前提:昨日強めの筋トレをしたが、まだ筋肉痛になっていない。
結論:明日にはきっと筋肉痛になる。
共通の要素は「強めの筋トレ」ですね。結論には含まれていません。
大前提の中の「2日後」という言葉が、結論では状況から「明日」という別の言葉に変わっていますが、同じことです。
ほかにも、比較的ラフな三段論法を作ってみましょうか。
大前提:新潟バイパスの制限速度は時速80Kmである。
小前提:私の車はフルパワーでも80Kmしか出ない。
結論:私の車で新潟バイパスを走るときは、スピード違反を気にせずフルパワーで走れる。
大前提:佐渡に釣りに行ってくるには5万円はかかる。
小前提:今、財布の中に2万円しかない。
結論:佐渡に釣りに行きたいなら3万円をどこからか工面する必要がある。
※共通の要素がわかりにくいですが、小前提の「2万円」を「5万円には3万円足りない金額」と置き換えると、「5万円」が共通の要素になりますね。
大前提:ローソンの特製肉まんはセブンイレブンの肉まんよりジューシー。
小前提:私はジューシーな肉まんが好き。
結論:セブンイレブンが目の前にあるが、少し歩いてローソンまで行きたい。
大前提:最近は安全を考えて、塾が遅く終わる日は親が送迎する。
小前提:今日はテスト前の特別授業で、いつもより終わるのが遅かった。
結論:お母さんに電話して迎えに来てもらおう。
こんな具合です。
やってみてください。
* * *
新潟市で共鳴発声法の話し方教室ウェブ:
http://wsi-net.org/メール:tenor.saito@gmail.com
子供向けの話し方教室、大宮校についてはこちら通る声、届く声の出し方の本